[東京 27日 ロイター] - 2016年の大統領選でヒラリー・クリントン元国務長官が敗れてから4年、来年1月に米国初の女性副大統領が誕生する見通しとなった。日本初の女性宰相を目指してきた自民党の野田聖子幹事長代行はロイターとのインタビューで、「大きな変化を感じる」と発言。日本をはじめ、各国の政界に波及することに期待を示した。
過去2回の自民党総裁選、野田氏は出馬に意欲を示しながらも、必要な推薦人を確保できず立候補を見送った。一方で米国は、女性大統領は誕生していないものの、民主党のカマラ・ハリス上院議員が初の女性副大統領に就任することがほぼ確実となった。
野田氏は「前回はヒラリー氏が(大統領に)なれなかったことで落胆した。それから数年経ち、新たな芽が米国で生まれたということは大きな変化を感じる」と語った。「米国で起きたことは世界中に影響する」と述べ、自身が首相を目指すことに改めて意欲を示した。
野田氏は「総裁選は党の姿をアピールする場なので、多様性を重んじているとか、ジェンダー(性別)平等を考えているという総裁選をみせたい」とした上で、「今までは理想だったけど、実際にもうアメリカのカウンターパートが存在することでますます現実味を帯びている。頑張りたいと思う」と述べた。
とはいえ、日本の国会は今も男性議員が圧倒的多数を占める。与党・自民党の国会議員の9割は男性だ。野田氏は「政治は男性がするべき仕事、国技館のお相撲と同じで、そういうイメージが強い」と指摘。一方で、20年以上前から自身が訴え続けてきた不妊治療の保険適用が俎上(そじょう)に上ったことに言及するなど、風向きが少しずつ変わりつつあることも感じている。
野田氏は「総理が一言発した途端、保険適用の動きができた」と語った。菅義偉首相がかねてから選択的夫婦別姓を支持してきたことにも触れ、「私たち女性がしっかり立てなければ、この国はままならないということを(菅氏は)理解している」と述べた。その上で、「そこに私たちがどう肉付けしていくか」だと語った。
菅内閣には上川陽子法務相と橋本聖子五輪担当相の2人の女性大臣が入閣している。野田氏は、両氏とも能力に見合ったものだと指摘。「女性だからじゃなく、前進できたかなと思う。適材適所の中に女性が増えてきた」と述べた。
*インタビューは26日に行いました。
(宮崎亜巳 吉田まゆ 編集:久保信博)