[ドバイ 26日 ロイター] - 国際金融協会(IIF)は、米国がバイデン政権の下で対イラン制裁を解除すれば、イランの経済成長率は来年、4.4%に回復する可能性があるとの見方を示した。一方、COVID─19(新型コロナウイルス感染症)流行の影響で外国からの投資が抑制される可能性も指摘した。
11月3日に行われた米大統領選挙でバイデン氏の勝利が確実になったことを受けて、2015年に米英独仏中ロとイランの間で結んだ核合意に米国が復帰する可能性がある、との観測が広がっている。この合意は、イランが核開発プログラムを制限する見返りに、同国への制裁を解除するものだが、トランプ政権は2018年に合意から離脱した。
制裁や新型コロナの影響を背景に、イランの通貨リヤルは2020年、対ドルで約50%下落した。ただ、バイデン氏が米大統領選で勝利するとの見方を背景に、リヤルは10月後半に上向きの動きを見せた。
IIFは、米国が2021年末までに経済制裁の大半を解除した場合には、イラン経済は来年は4.4%成長に回復する可能性があるとし、22年は6.9%、23年は6%成長するとの見通しを示した。イラン経済は、2020年は6.1%のマイナス成長が見込まれている。
IIFのMENA(中東・北アフリカ)担当チーフエコノミスト、ガービス・イラディアン氏は、ロイターに対して、イランへの海外直接投資(FDI)は今年の8億9000万ドルから段階的に拡大し、2025年には64億ドルを突破するとの見方を示した。制裁の大半が来年後半に解除されると仮定すると、21年のFDIは20億ドル弱になるとし、その大半は中国マネーと指摘。「さらに、2021年は新型コロナ流行がFDIを抑制すると見込まれる」と付け加えた。