[ワシントン 7日 ロイター] - 米首都ワシントンの連邦地裁は7日、商務省による中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の国内での利用を事実上禁止する制限措置を一時差し止める決定を下した。
ペンシルベニア州連邦地裁は1カ月余り前に、11月12日発効予定だった、TikTokとの取引を事実上禁止する措置の一時差し止めを命じており、ワシントンの地裁も同様の判断を出した。ワシントンの訴訟はTikTokを運営する中国IT企業・字節跳動(バイトダンス)が提起、ペンシルベニアの訴訟はTikTokの一部ユーザーが起こしていた。
ワシントンの地裁はまた、9月27日に、TikTokの米アプリストアからの新規ダウンロードを禁止するトランプ政権の命令を一時差し止める判断を示している。
TikTokの広報担当者は「裁判所がわれわれに同意し、一時差し止めを認めたことは喜ばしい」と述べた。
ワシントンの地裁は、TikTokに対する制限措置で商務省は恐らく法的権限を越えたとし、代替措置の検討を怠ったことで恣意的かつ一貫性のない行動を取ったと指摘した。
商務省は地裁の判断を受け、TikTokへの制限措置が盛り込まれた8月の大統領令の「正当性を強力に主張する」と表明。「法律と完全に整合的で、合法的な国家安全保障上の利益を推進する」内容だと強調した。一時差し止めには従うとした。
具体的には、国内のTikTok向けのデータ・ホスティング(サーバー貸し出し)やコンテンツ・デリバリーなどの技術的取引に関する制限が差し止められる。
ロイターは前週末、トランプ米政権が12月4日までとなっていたTikTokの米事業売却期限を延長しなかったが、TikTokを巡りバイトダンスと米政府の交渉は今後も継続する見通しだと報じた。
米財務省は4日遅く、政府は「バイトダンスが事業売却や安全保障上のリスク解消に必要な他の措置を完了するよう同社に関与している」と表明した。
トランプ政権は、TikTokを通じて中国政府は米国ユーザーの個人情報の入手が可能だとし、国家安全保障への脅威になると主張している。一方、米国内に1億人以上のユーザーを抱えるTikTokは、米政権の主張を否定している。
連邦控訴裁判所は今月14日にTikTokのダウンロードを禁止する措置を差し止めた地裁の判断を不服とした、米政府の控訴に関する審理を行う見通し。
*内容を追加しました。