[ロンドン 15日 ロイター] - 英エネルギーコンサルタント会社ウッド・マッケンジーは15日、国連が後押しする計画と足並みをそろえて各政府が燃料消費削減を推し進めれば原油価格は2030年までに1バレル=40ドル前後まで下落する可能性があるとの報告書を公表した。
報告書は、輸送と産業の電気化による温室効果ガス排出削減に世界が断固として取り組むシナリオを提示。石油消費は早ければ2023年に急激に減少し始めるとし、石油需要は50年までに日量3500万バレルまで減少する可能性があるとの見方を示した。
石油消費は2019年に過去最高の日量約1億バレルに達し、今年は新型コロナウイルスで落ち込んだ昨年から力強く回復すると見込まれている。
報告書は原油価格がこの10年間で下落し始めると指摘。「エネルギー移行加速」シナリオでは、ブレント原油価格が2030年までに平均で1バレル=40ドルになると予想した。現在の価格は65ドル前後だ。
2050年までには10─18ドルまで下落する可能性があるとした。
ウッド・マッケンジーのアンルイーズ・ヒットル氏は「(国連が支援する)パリ協定で設定された、世界の気温上昇を(産業革命以前と比較して)摂氏2度未満とする目標に向けてわれわれが動けば、エネルギーマトリックスは大幅に変わるだろう」と述べた。
ただ同社は、世界の現在の政策はパリ協定に沿っているとは言えず、このままいけば2100年までに気温は産業革命以前と比較して摂氏3度上昇する見通しだと強調した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20210415T090029+0000