[シカゴ 15日 ロイター] - 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は15日、米規制当局が迅速にジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンの使用一時停止を解除し、同ワクチンが近く「軌道に戻る」ことを望んでいると語った。
米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品局(FDA)は13日、J&Jワクチンについて、接種した50歳以下の女性6人に血栓が生じる事例が報告されたことを受け、接種を一時中止するよう勧告した。
CDCの諮問委員会は14日、同ワクチンのリスクに関する十分なデータが集まるまで、再開の判断を少なくとも1週間先送りする方針で一致した。
ファウチ氏は、接種の一時停止は「CDCとFDAが非常に真剣に安全性を検証している証左だ。迅速に結論を出し、元の軌道に戻ることを望んでいる」と語った。
停止が長引けば「ワクチンに関する懸念が強まるだけでなく、一般的なワクチンへの忌避感に影響が及ぶ可能性がある」と指摘した。
J&Jワクチンによる血栓の事例は欧州で報告されている英アストラゼネカ製ワクチンによる血栓の発症事例に類似しており、欧州の一部の国は両方の使用を見送っている。
そうした動きは拙速かとの問いに対し、ファウチ氏は「多くの点でそうだと思う」と応じ、少なくともワクチン接種による血栓の発症率が一般よりも高いかどうかを把握するまでは拙速と言えると続けた。
米モデルナ製や独ビオンテック・米ファイザー製のメッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いたワクチンでは血栓の報告はない。ファウチ氏は、「代替ワクチンがあれば問題ないが、ない場合はリスクは非常に小さいという点を指摘すべきかもしれない。将来的にその判断が必要になるだろう」とした。
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