[ウェリントン/コロンボ 5日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)最大都市オークランドのスーパーマーケットで7人が負傷した先週の刃物襲撃事件を巡り、現場で射殺されたスリランカ籍の容疑者の男についてNZ政府が数年にわたり本国送還を試みていたことが分かった。裁判所の非公表措置解除を受けて政府が5日、容疑者に関する情報をさらに公表した。
裁判資料によると、男はスリランカ出身のタミル人イスラム教徒Ahamed Aathil Mohamed Samsudeen容疑者(32)。学生ビザで10年前にNZに入国し、2013年に難民認定された。
オークランドのスーパーマーケットで3日、Samsudeen容疑者が陳列棚からナイフを手に取り、人々を襲撃。尾行していた警察が1分後に同容疑者を射殺した。同容疑者は有罪判決を受け、7月に釈放されるまで約3年間収監されていた。
NZ政府によると、Samsudeen容疑者は過激派勢力「イスラム国(IS)」に傾倒しており、監視対象となっていたが、法律によるこれ以上の収監は不可能だった。
同容疑者はフェイスブックで過激派の攻撃や暴力的な過激主義を支持するコメントなどに同意を示していたことから、2016年に警察などにマークされるようになった。
当局によると、同容疑者の難民認定はその後、不正に取得されたものだと分かったため、政府はビザの取り消しを模索し、本国送還通知を出したという。ただ、同容疑者は本国送還に異議を申し立てていた。
当局が脅威を把握していたにもかかわらず、Samsudeen容疑者の自由な行動を許していたことでNZのテロ対策法の抜け穴に疑問の声が上がっている。