[ブリュッセル 13日 ロイター] - 欧州連合(EU)は来年2月の北京冬季五輪に外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を巡り、加盟国間でまだ合意形成できずにいる。
米国は今月6日、中国による新疆ウイグル自治区などでの人権侵害を理由に北京五輪の外交ボイコットを発表。オーストラリアや英国、カナダも外交ボイコットを表明した。中国はこうした動きに反発している。
ただEU内では、フランスとオランダが中国による人権侵害にEU共通の対応をすべきと主張する一方で、中国の報復で自国の貿易が打撃を受けるのを恐れるあまり五輪の外交ボイコットには慎重な意見もある。
リトアニアの外相は13日、EU外相会議の前に、北京五輪に出席しない意向を記者団に表明し、「EUで一緒に動くやり方に賛同するが、実現が困難なこともある」と述べた。
リトアニアは国内に台湾の事実上の大使館を開設させるなど台湾と友好関係を構築しつつあり、そのために中国の貿易制裁を受けていると主張している。
ルクセンブルクの外相は、外交ボイコットの是非を巡りEUはすぐには合意に至らないとの見方を示した。
16日のEU首脳会議でもこの問題が話し合われる予定。
複数の外交官によると、EU加盟国で中国と最も親密なハンガリーはEUとしての外交ボイコットに反対するとみられるが、他の26カ国で合意に至る可能性はあるという。
フランスのルドリアン外相は先週9日、外交ボイコットの是非について、他のEU諸国と共通の立場を取るべきだと述べ、ドイツのベーアボック外相もこの見解を支持した。
だが、フランスのブランケール教育相は同日、フランスが米国などの外交ボイコットに追随することはないと述べた。
オーストリアの代表は、五輪を政治問題化すべきではないとし、外交ボイコットには消極的な姿勢を示している。