[バルパライソ(チリ) 11日 ロイター] - 南米チリで11日、元学生運動リーダーの左派のガブリエル・ボリッチ(36)が大統領に就任した。チリの大統領としては史上最年少となり、同国政治に大きな変革をもたらす可能性がある。
ボリッチ氏は大統領宮殿で演説し、「私は常にわれわれと考え方の異なる人々の提案に耳を傾けていく。すべてのチリ国民の大統領になる」と約束した上で、同国には格差解消、移民、気候変動などの難題が待ち構えていると訴えた。
チリは長く自由市場主義の保守勢力の牙城で、財政拡張にも慎重だった。左派ボリッチ氏の台頭は左派急進派を勢いづけた半面、これまでの経済安定が損なわれるとの懸念も浮上。実際、ボリッチ氏は社会格差と闘うため市場主義経済モデルを抜本改革すると公約してきた。社会格差は2019年から起きた抗議デモの背景でもあった。
ただ、ボリッチ氏は最近になって、強硬な物言いを和らげてきている。
チリはピノチェト独裁政権時代の憲法の改正に動いているさなかでもある。同憲法は経済成長を支えてきた一方で、社会格差にもつながってきたと批判されている。