[ロサンゼルス 8日 ロイター] - バイデン米政権は8日、ロサンゼルスで開催されている米州首脳会議で中南米諸国との経済的連携を強化するための新たな構想「アメリカズ・パートナーシップ・フォー・エコノミック・プロスパリティー」を提起した。中南米地域への影響力を強化しつつある中国に対抗し、サプライチェーン(供給網)拡充などを目指す。
バイデン大統領は開幕式で「より強靭かつ確実で持続可能なサプライチェーンを構築するため、われわれの貿易が持続可能で責任あるものになるよう投資する必要がある」と述べた。
新構想に関税引き下げは含まれない。米政府高官の1人によると、当初は米国と既に貿易協定を結んでいる「同志国」に焦点を置く方針。関係各国との具体的協議は秋に始まる見通しだ。
この高官の話では、米国は既にカナダやメキシコと自由貿易協定を締結し、中米諸国などとも同様の取り決めをしているが、今回の構想を通じて関税体系やデジタル貿易、労働問題や環境問題、企業会計基準などの分野で新たな協力体制を築く狙いだという。
米州開発銀行(IDB)の活性化やクリーンエネルギー分野の雇用創出案も盛り込まれた。
バイデン大統領は、移民に関する宣言を10日に発表する方針を明らかにし、責任を共有する「画期的で統合的な新しいアプローチ」になるとした。
ただ今回の会議は、バイデン政権が人権侵害などを理由にキューバとベネズエラ、ニカラグアを招待しなかったことに反発し、メキシコやグアテマラ、ホジュラスなどの首脳が欠席。21カ国首脳の参加にとどまった。