[ブリュッセル 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会と各国閣僚は5日の会合で、EU航空消火部隊の整備計画の実施を急ぐことで一致した。レナルチッチ委員(危機管理担当)が、2023年EU予算で資金を追加拠出し複数の消火ヘリ購入を前倒しで進めることに合意したと発表した。この夏に域内で大規模な山火事が相次ぎ、現状の対応能力で追いつかなくなっているためだ。
EU加盟国は現在、山火災については原則として各国レベルで対応する責任がある。手に負えない場合に限ってEUに支援を求められる。現行対応では加盟国で共有する航空機11機とヘリ1機の配備を巡り、EUが調整と予算拠出に関与する形になっている。
ただ気候変動の影響による気温上昇と乾燥化に伴って、欧州でも山火事の回数が増えて規模も拡大。ポルトガルやギリシャのようにこれまでもほぼ毎年夏場に発生してきた南部諸国だけでなく、山火事にあまりなじみがなく消火対応の装備の少ないドイツやチェコなどにも被害が及んでいる。この夏は欧州全体で何千人もが避難を強いられ、家屋が損壊したり経済活動が打撃を受けたりしている。
レナルチッチ氏は「欧州全体で能力の限界に達している。大規模火災が起きているのに、域内に要請できる消火部隊の余裕がないと分かっていたために支援要請さえしなかった事例は複数の国である」と述べ、EU独自の部隊整備の必要性を訴えた。
EUはこれまでもこうした部隊の機体調達を計画してきたが、従来のスケジュールでは生産が2025年以降と想定されていた。