[6日 ロイター] - 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は6日、英国のトラス新首相が今後数週間のうちに、北アイルランド議定書第16条に基づく緊急措置を発動することはない見込みだと報じた。
同議定書は欧州連合(EU)離脱協定の一部で、EU加盟国のアイルランドと英領北アイルランドとの間の自由な物流を認める一方、北アイルランドと英本土間のモノの検査を規定。第16条は、議定書が予想外に有害であると判明した場合に、双方が一方的に適用を免除することができると定めている。
16条を発動すれば、EUとの緊張が高まり、関税や数量割り当てを撤廃した貿易協定の一部停止など最終的に貿易戦争に発展する可能性もある。
FTによると、EU当局者は現在、トラス氏が2020年にEUと英国が合意した、英本土と北アイルランド間のモノの移動に関する規制緩和を認めている猶予期間の延長を要請するとみている。この猶予期間は9月15日に切れる。
トラス氏の側近は、FTに対し「われわれは何も排除しないが、第16条を発動することになれば驚きだ」と語った。
英国では北アイルランドを巡る通商ルールの一部廃止を可能とする法案が議会で審議されており、先月にトラス氏は首相に選出された場合、これを完全履行する決意を表明していた。