[ソウル 8日 ロイター] - 韓国政府は8日、朝鮮戦争で生き別れた離散家族の再会に関する協議を北朝鮮に提案した。北朝鮮に直接対話を提案するのは、尹錫悦大統領が5月に就任して以来初めて。
南北離散家族の再会は2018年を最後に行われていない。再会は当時、主な祝日の前後に実施されており、今回の提案は「秋夕(中秋節)」を目前に控える中で行われた。しかし、兵器の保有を拡大し、尹政権との対話を拒んでいる北朝鮮が応じるかどうかは不透明だ。
権寧世統一相が会見を開いて提案を行った。協議の日程や場所、議題、形式については北朝鮮の希望を考慮して決めるとし、迅速かつ前向きな回答を促した。
「双方の責任者ができる限り早期に対面で会談し、離散家族を含む人道的問題について率直な協議をすることをわれわれは望んでいる」と述べた。
北朝鮮への食料支援の可能性に関する質問には、韓国政府は「特別な促進策」を検討しておらず、北朝鮮は人道的問題に対処するために協議に応じるべきだと述べた。
北朝鮮が拒否した場合でも「継続的に提案を行う」考えだとした。
慶南大学校極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は、尹大統領に関する最近のコメントを踏まえると、北朝鮮が提案を受け入れる可能性は極めて低いと指摘。
「離散家族再会は基本的な人道問題だが、実際には双方の間に高い信頼感があることが必要になる」と述べた。
韓国の尹大統領は今年5月、就任式典後の演説で、北朝鮮の核兵器開発は脅威だが、北朝鮮が非核化にコミットすれば経済計画を提供する用意があるとの姿勢を示していた。これに対して北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹、金与正氏は先月、尹大統領の計画を一蹴。尹氏とは対面で交渉するつもりはない、などと激しく批判した。