[チューリヒ 7日 ロイター] - スイス政府は7日、閣議了承した新たな外交基本方針報告書を公表した。国防と安全保障面では欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)と緊密な連携を深めるとした一方、伝統的な中立政策は堅持する方針を明示した。自前の防衛力強化の必要性も訴えた。
政府は声明で、ロシアによるウクライナ侵攻によりハイブリッド戦争や偽情報工作、サイバー攻撃のほか、局地的な軍事衝突の脅威が高まっていると指摘。安全保障・国防政策でこれまでより国際的協力に舵を切るのがスイスの国益になるとの報告書の結論を紹介し、欧州で特にNATOやEUの枠組みとの政策協調を拡大していく可能性を指摘した。ただ、こうした取り組みはスイス独自の防衛力強化につなげることに活用するとも強調し、スイスとしての中立主義は尊重すると表明した。
合同軍事演習への参加を増やすことや軍事協力の範囲拡大のほか、スイスがNATOと交わしている「平和のためのパートナーシップ」協定の拡充や、救出任務のためのEU緊急派遣チームに加わることなどが想定されている。