[ベルゲン訓練場(ドイツ) 13日 ロイター] - ドイツ北部ベルゲンで欧州連合(EU)がウクライナ向けに実施している軍事訓練では、ウクライナ軍から派遣された兵士が操縦するドイツ製主力戦車レオパルト2が、標的に向けて発砲する演習を繰り返している。数日後彼らは、レオパルト2とともに最前線に戻る予定で、戦局打開の切り札になると期待されている。
演習の全容を見渡すことができる丘の上では、この訓練責任者を務めるエルベ・ブレジャン中将が、とどろく砲声に負けないように声を張り上げつつ、記者団にレオパルト2の優秀さを改めて称賛。現在ロシア軍の30万人を超える部隊の「津波」によってウクライナの最前線は戦争開始以来最も危険にさらされていると説明した上で「レオパルトのような性能の高い戦車を投入することができれば、突破口を切り開いて反転攻勢を考えられるようになる」と語り、レオパルト2がウクライナによる春季攻勢にとって重要な要素になるとの見方を示した。
ドイツ政府は今年1月に西側で最優秀の戦車の1つとみなされているレオパルト2をウクライナに供与することに合意。ピストリウス国防相は先週、供与を約束したレオパルト2A6型18両全てが3月中にウクライナに引き渡されるだろうと述べた。
ウクライナの兵士はわずか6週間でレオパルト2の運用を一通り習得することを求められたが、ドイツ側の訓練担当者からは満足できる成果が得られたとの声が出ている。
担当者の1人は「(演習で標的の)80%強に命中しており、これほどの短期間の訓練としては実に素晴らしい成績だ」と評価した。
ただ従来の戦車運用方法の一部を頭から消す必要も迫られた。別の担当者は、ウクライナ兵が慣れ親しんでいたロシア製戦車はゆっくりとしか後退ができず、敵の砲火に対して脆弱になるため、彼らは当初レオパルト2を後退させず転回しようとしていたと明かした。しかしレオパルト2は砲撃しながら急速に後退し、より分厚い前面装甲を敵に向け続けられるという。
レオパルト2は優秀な暗視装置も装備しているので、ウクライナ兵はその強みを最も発揮するための夜間行動訓練も経験した。
砲撃手を務めるあるウクライナ兵は、ロシア軍に対してレオパルト2の到着を覚悟して待つよう警告。「ウクライナの情報機関に勤務する友人が、ロシア軍はレオパルト2のために非常に不安に陥っていると教えてくれた。これでわれわれは必要な戦局の好転を成し遂げることができるし、レオパルト2とともに戦う他のウクライナ軍部隊がより安心感を得られるだろう」と語った。