[東京 16日 ロイター] - 国内最大の産業別労組である「UAゼンセン」は16日、同日午前10時時点で妥結した117組合の正社員の平均賃上げ率は4.56%だったと発表した。前年と同時期の2.47%を大きく上回り、過去最も高い水準。4割の組合が満額回答を引き出した。
正社員、パート、契約など組合員計74万人の賃上げが妥結した。パートタイムの賃上げ率は5.90%で正社員を上回り、雇用形態間の格差が縮小。300人未満の中小組合の賃上げ率は5.27%で、300人以上の4.55%を上回り会社規模による格差の是正も進んだ。
UAゼンセンの松浦昭彦会長は「物価上昇分に見合う程度の賃金引き上げが確保できた」と評価。物価高や人材確保を背景とした、賃上げに対する社会的な機運の盛り上がりも高い賃上げ結果につながったとの考えを示した。相次ぐ早期妥結の流れを受けて、組合員の訴求の声も強くなったという。今後本格化する中小・中堅企業の交渉への波及を目指す。
UAゼンセンは繊維、化学、流通、サービス業など2291の労働組合が加盟(21年9月現在)する日本最大の産業別組織。春闘では751組合が要求書を提出し、正社員の要求分は組合員1人当たりの平均で5.16%、パートタイムは同6.35%で、他産業と比較して相対的に低い賃金水準を引き上げるとして、ゼンセン結成以来、最も高い水準を要求している。