[チューリヒ 23日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は23日、政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げ1.5%とした。
追加利上げの可能性は排除できないと指摘した。必要に応じて外為市場に積極的に介入する姿勢を示した。
4回連続の利上げとなった。スイスのインフレ率は現在3.4%と、中銀の目標レンジ(0─2%)を依然上回っている。
利上げ幅は市場予想と一致した。中銀が金融市場の混乱よりもインフレを懸念していることが浮き彫りとなった。
中銀は声明で「今後数四半期の世界経済の成長見通しは依然低迷している。同時にインフレは当面、世界的に高止まりする公算が大きい」との見方を示した。
金融大手クレディ・スイスに対する支援措置で「危機に歯止めがかかった」とも表明。「中銀はスイスフラン建てと外貨建てで大量の流動性支援を提供している」と述べた。
中銀は経済予測も修正。今年の経済成長率を1%と予測した。昨年12月時点の予測は0.5%前後だった。
今年のインフレ率見通しは2.6%。2024年と25年は2%。
中銀は「今日の利上げがなければ、インフレ予測は中期的にさらに上昇していた」と指摘した。
<クレディ・スイス救済>
ジョルダン中銀総裁は記者会見で、スイス中銀が政府と規制当局と共に実施したクレディ・スイスに対する救済策で、システミックな危機を防止できたと表明。「この解決策がうまくいかなければ、クレディ・スイスは破綻し、スイスだけでなく世界経済にも大きな影響が及んでいた」と述べた。
その上で「ここ数週間、銀行セクターの信用は現実的に失われ、これを食い止めるために流動性以外の別の解決策が必要だった」と述べた。
スイスの金融大手UBSはクレディ・スイスを30億スイスフランで買収すると発表。ジョルダン総裁は、金融の安定を維持するためにUBSによるクレディ・スイスの買収をできるだけ円滑に進めることが重要だと述べた。
総裁はロイターのインタビューで、現行の措置は「極めて大きく、大胆だ」と語り、銀行に対するさらなる流動性は必要ないとの考えを示した。
<一段の利上げ排除せず>
スイス中銀は一段の利上げは排除できないと表明。ジョルダン総裁はロイターに対し「最新のインフレ予測を見ると、金融引き締めを継続する必要性があることが分かる」と語った。
中銀はまた、必要なら外国為替市場で積極的に活動する姿勢も示した。
エコノミストは、スイス中銀がインフレ抑制のため利上げを継続すると予想。ミラボーのエコノミスト、ゲロ・ユング氏は「さらなる動きがある可能性がある。スイス中銀はタカ派的な利上げを行うだろう」と述べた。
世界の中央銀行はインフレ抑制に向け利上げを継続しており、欧州中央銀行(ECB)は16日の理事会で0.5%ポイントの大幅利上げを決定。米連邦準備理事会(FRB)は前日まで2日間の日程で開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げを決定したほか、イングランド銀行(英中央銀行)もこの日、政策金利を0.25%ポイント引き上げた。
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