[ヨハネスブルク 12日 ロイター] - 南アフリカは12日、制裁対象のロシア船が昨年12月に南アフリカ・ケープタウン近郊の海軍基地で武器を積載したとする米国の非難に反論した。
米国のブリゲティ駐南アフリカ大使は11日、ロシアの船舶が昨年12月に南アフリカのサイモンズタウンの海軍基地で武器を載せたと確信していると述べ、南ア政府が公言するウクライナ紛争での中立性に合致しないことを示唆した。
南ア大統領府は11日、退役判事を中心にこの疑惑を調査すると発表。12日にはロシアへの武器輸送があったとされる時期に通常兵器規制委員会(NCACC)のトップだったグングベレ通信相が「702ラジオ」で「われわれはロシアへのいかなる武器も承認していない(中略)、制裁も承認もされていない」と語った。
南ア外務省はこの日、ブリゲティ大使を呼び、前日の発言について抗議。外務省は声明で「昨日の行動と発言に対して政府の強い不快感を表明した」とした。外務省によると、ブリゲティ大使は「一線を越えた」ことを認め、「南ア政府と国民に無条件で謝罪する」と述べたという。
ブリゲティ大使は、パンドール南ア外相と会談し、自身の公の発言による誤解を正すことができたとツイートした。
米国務省は、ブリンケン国務長官がパンドール外相と電話会談し「保健、貿易、エネルギーなどの共通の優先事項に関する協力を再確認した」と発表した。
これに先立ち会見した米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、南アの武器提供疑惑について直接触れなかったものの、「米国は一貫して各国に対しロシアの戦争にいかなる支援も提供しないよう強く求めてきた。ロシアのプーチン大統領に罪のないウクライナの人々を殺すことを容易にさせてはならない」と改めて表明。問題の積み荷が南ア政府の承認を受けていない民間のものだったのかについてはコメントを避けた。
ブリゲティ氏は11日の記者向けのブリーフィングで「ロシアの貨物船『レディR』が2022年12月6─8日にサイモンズタウンに停泊し、武器と弾薬を積載してロシアに戻ったと確信している」と述べていた。
金融情報会社リフィニティブの船舶データによると、「レディR」はサイモンズタウン出港後、北上してモザンビークに向かい、23年1月7日から11日まで同国ベイラ港に停泊。その後、紅海のポートスーダンに向かって航行し、2月16日にロシア南部クラスノダール地方にある黒海沿岸の主要港ノボロシースクに到着した。
米国は22年5月、ロシア政府のために武器を輸送しているとの疑いで「レディR」と関連の海運会社「トランスモルフロート」を制裁対象に加えている。
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