[ジャカルタ 29日 ロイター] - インドネシア政府はこのほど、海砂の輸出を20年ぶりに解禁した。隣国シンガポールの土地拡張プロジェクトに追い風となりそうだが、海洋生物生息地への悪影響を懸念する声も出ている。解禁した理由は明らかにされていない。
インドネシアは2003年に海砂の輸出禁止を導入。07年に違法輸出を取り締まる方針を再確認した。禁止されるまで、シンガポールにとってインドネシアは土地拡張用海砂の主要調達先の一つで、1997年から02年までに年平均で5300万トン余りを輸入していた。
海砂輸出禁止措置はインドネシアとシンガポールにとって外交上の懸案事項となり続け、07年にはシンガポールが、インドネシアはこの措置を武器に犯罪人引き渡し条約や国境に関する交渉で圧力をかけていると非難する局面もあった。
国連の2019年の報告書によると、シンガポールは世界最大の海砂輸入国で、それまでの20年間で近隣諸国から合計5億1700万トンを輸入した。最大のシンガポール向け海砂輸出国はマレーシアだが、同国は19年に輸出を禁止している。
インドネシア海洋水産省の報道官は、海砂の輸出が認められるのは国内需要を満たした後に限ると述べ、採掘規制の枠組みは環境基準に確実に対応することを目指していると強調した。
ただNGOのインドネシア環境フォーラム(WALHI)は、輸出解禁はより健全な海の生態系を守るという政府の約束と矛盾しているとの批判している。