[ロンドン 29日 ロイター] - スナク英首相は29日、英国に密入国した亡命希望者をルワンダに強制移送する政府の計画を違法とした控訴院の判決を不服として、上訴する考えを表明した。
英国は昨年、ルワンダとの間で1億4000万ポンド(1億7700万ドル)を投資する代わりに亡命希望者を送って同国で申請手続きを行ってもらう取り決めを結んでいる。
組織的な不法入国を一掃するためというのが英政府の言い分だが、非人道的で効果もないとの批判が噴出。
昨年12月には下級審が英政府の計画を合法と認定したものの、シリアやイラク、イランなどからやってきた亡命希望者や人権団体などが異議を申し立て、欧州人権裁判所も英政府が亡命希望者をルワンダへ移送を開始することに待ったをかけていた。
こうした中で控訴院は、ルワンダを安全な第三国とみなすことはできず、亡命希望者が出身地に送り返されて迫害される恐れがあるとの見方を示した。
スナク氏は「控訴院(の判断)は尊重するが、この結論に私は根本的に同意しない」と述べ、最高裁に是非を問う構えだと付け加えた。