[ロンドン 4日 ロイター] - 英首都ロンドン市による「超低排出ゾーン(ULEZ)」を拡大する措置は違法で差し止められるべきだ──。拡大対象となっている5つの下部自治体が4日、高等法院に異議申し立ての訴えを起こした。
ULEZは大気汚染改善のために導入され、市内に入ってくる排ガス基準を満たさない自動車に1日当たり12.50ポンド(16ドル)の通行料を科す制度。
カーン市長は昨年、このULEZを今年8月からグレーターロンドン地区のほぼ全域に拡大することを決めた。
ロンドン交通局が公表している市中協議文書によると、郊外からやってくる自動車の91%は通行料適用の対象にならない見通しだ。
しかし原告側の弁護士は、交通局はULEZ拡大を正当化する基本要件となっているこの91%の詳しい算出方法を明らかにしていないと主張している。
さらに原告側は、拡大したULEZの外側の住民に対して「スクラップスキーム」を適用しないと決定したカーン氏の方針にも不服を唱えた。スクラップスキームは、排ガス基準をクリアできない自動車の買い替えや改良に補助金を支給する仕組みだ。
これに対してロンドン市側は、交通局は協議文書で十分な情報を提供しているし、スクラップスキーム適用を郊外まで広げないのはULEZで直接影響を受ける層に的を絞るためだと反論している。