[ウェリントン 4日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)政府は4日公表した国防見直しで、大国間の対立が激化する中、ここ数十年で最も困難な戦略的環境に直面しているとした上で、軍備は将来の課題に適した水準ではないと分析した。状況の改善に向けた具体的な計画は示されなかった。
政府は、国防見直しの第一段階とともに、初の国家安全保障戦略を発表。見直しでは、気候変動や欧米と中国・ロシアの間の戦略的競争といった課題に対応するために、軍事費を増やすほかインド太平洋諸国との関係を強化する必要があるとしている。
ブリッジマン国防長官は「NZが直面する脅威は、より複雑化し、より困難になっている」と表明。「当面は現在の軍隊で必要性に対応することになるが、近い将来においては新たな未来と進化する状況を見据える必要がある」との考えを示した。
しかし、現時点で国内総生産(GDP)約1%を占める国防予算の増額や装備の刷新に関する決定は、2024年にさらなる文書が発表されるまでは行われない。
安全保障戦略では、中国の台頭が9000キロ離れたNZにおいてでさえ旧来の規範や行動を覆しつつあることが強調された。「ますます強大になる中国は、既存の国際的なルールや規範に挑戦するような形で、国力のあらゆる手段を行使している」とした。
戦略とともに発表された政策文書は、NZの軍隊が武力紛争や災害救援活動に備えるため、より多くの投資、装備、訓練を必要としていると指摘した。