[バンコク 22日 ロイター] - 17年間海外亡命生活を送っていたタイのタクシン元首相(74)が22日、帰国した。タイではこの日議会で首相指名投票が行われ、タクシン派であるタイ貢献党のセター・タビシン氏を首相に選出した。
タクシン氏は2008年に権力乱用などの罪による実刑判決を逃れるため海外に逃亡した。
タクシン氏はバンコクのドンムアン空港のプライベートジェット用ターミナルに家族と共に現れ、数百人の支持者に手を振った。
黒いスーツに赤いネクタイ、王室の記章が入った黄色い襟章という姿で支持者らにあいさつした後、国王と王妃の肖像画の前でひざまずき敬意を表した。
空港、裁判所、拘置所の外には、横断幕を持った何百人もの赤いシャツを着た支持者が集まり同氏を出迎えた。
警察筋によると、タクシン氏は身柄を拘束され、裁判所で審問を受けた後に収監される見通し。最高裁判所の声明によると、計8年の刑期に服することになる。
当局者はタクシン氏がバンコクの拘置所に収容されたとし、脊椎、心臓、肺に問題があるため健康状態を注意深く観察すると説明した。
5月の総選挙で第2党となったタイ貢献党は21日、親軍派を含む11政党から成る連立を結成。22日に行われた上下両院での首相選では元実業家のセター氏が過半数を獲得した。
タイ貢献党が長年敵対関係にあった軍と手を結んだ際に、タクシン氏の安全な帰国を保証する密約や恩赦の憶測が浮上している。
議会での採決を前にセター氏はタクシン氏の帰国を祝福し、家族の元に帰ることほど「大きな幸せ」はないと語った。