Ben Blanchard Yimou Lee
[台北 28日 ロイター] - 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏は28日、来年1月の総統選に無所属で出馬すると表明した。ゴウ氏は4人目の候補となる。当選すれば台湾海峡に平和をもたらし、台湾を第2のウクライナにはしないと約束した。
ゴウ氏は2019年に同社トップを退き、総統選に立候補したが、野党・国民党の候補指名を獲得できなかった。
今年再び国民党の候補指名を目指して立候補したが、同党は侯友宜・新北市長を候補に選出した。
ゴウ氏は過去数週間、台湾各地を遊説していたため、無所属で出馬するとの観測が出ていた。
同氏はこの日、7年前に発足した民主進歩党(民進党)政権が「台湾を戦争の危険に導き、域内の政策も失策ばかりだ」と主張。「企業家による政治の時代」に入ったとした。
総統選で当選すれば台湾海峡に50年間平和をもたらし、中台関係で相互信頼の「非常に深い基礎」を構築すると公約した。
「台湾を次のウクライナにはさせない」と強調した。
ゴウ氏が無所属候補の資格を得るためには11月2日までに有権者30万人弱の署名を集める必要がある。
各種世論調査では民進党候補の頼清徳・副総統が支持率トップで、台湾民衆党の柯文哲・前台北市長が2位、侯氏が大きく後れを取り3位となっている。
ゴウ氏は柯氏と侯氏に対し、民進党に勝利するため連携を協議するよう呼びかけた。
一方、国民党はゴウ氏の出馬表明は「極めて遺憾」とし、侯氏を支持するよう求めた。
中国に大規模投資を行っている鴻海の主要株主であるゴウ氏は利益相反について問われると、中国が攻撃した場合は自身の資産を犠牲にする用意があると答えた。
その上で「私は中国の支配下にあったことは一度もない」とし、「彼らの指示には従わない」と述べた。
ホンハイはゴウ氏について、4年前に「バトンを渡して」おり、同社の日々の経営には関与していないと述べた。
台北にある国立政治大学の黃奎博・副教授は「非民進党勢力が分裂すれば、1月の総統選で頼氏の勝利が確実になる」と述べた。