[北京 30日 ロイター] - 英中は30日、関係修復に向け暫定的な一歩を踏み出した。中国側は双方が「相互尊重」を示せばより良い関係を築けると確約。英国側は双方の首脳間を含め、オープンなコミュニケーションラインの維持を望むとの見方を示した。
中国を訪問中のクレバリー英外相は複数の放送局に対し、中国を孤立させたり、中国抜きで気候変動問題に対処するのは誤りだと指摘。「中国と根本的に意見が異なる分野については明確に認識しており、会談ではそうした問題を提起する」とした上で「世界中に影響を及ぼす問題があるため、中国と現実的で賢明な実務関係を築く必要があるという点を認識することも重要だと考えている」と述べた。
また、同相は中国との関係を一言で片付けようとするのは根本的に誤っているとし「(中国は)重要な国であり、大国であり、影響力のある国であり、複雑な国だ。このため、われわれと中国の関係も、必然的に複雑で洗練されたものになる」と述べた。
中国の王毅外相はクレバリー外相を歓迎。両国は後退ではなくむしろ前進すべきであり、特に世界経済を押し上げるために協力すべきと指摘。記者団を前にした会談の冒頭挨拶で「双方が相互尊重、平等な待遇を堅持し、互いの発展を客観的に捉え、相互理解と信頼を高める限り、中英関係はあらゆる不必要な干渉や障害を取り除くことができると確信している」とした。
これに対し、クレバリー外相は意見の相違を指摘できることはありがたいとし、王外相が「慎重かつプロフェッショナル」に耳を傾けてくれることに感謝すると言及。高官級のコミュニケーションチャネルの維持に加え、「最終的には英首相と中国国家主席が直接会談する機会を持つことも重要」とした。
来月インドで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で中国の習近平国家主席とスナク英首相が会談する可能性もあるが、会談の予定はまだ確定していないという。
英外務省の声明によると、クレバリー外相は中国政府による香港国家安全維持法によってもたらされた損害について問題提起したほか、一部の英議員に対する制裁の解除を求め、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したという。