[5日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は5日、西側諸国は「ナチズム賛美」を隠蔽するために、ユダヤ人であるゼレンスキー氏をウクライナ大統領に据えたと述べた。ただ、根拠は示さなかった。
プーチン大統領はロシアのジャーナリスト、パーベル・ザルビン氏のインタビューで「西側諸国は現代ウクライナのトップにユダヤ人の出自を持つ人物を据えた。西側諸国はこうして、現代ウクライナ国家の根底にある反人間的な本質を隠ぺいしようとしているように見える」と述べた。
その上で「ウクライナでは150万人がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の犠牲になったが、一時的にウクライナでホロコーストを主導した勢力をユダヤ人が隠ぺいしようとしていることで、全体的な状況が強い嫌悪感をもよおさせるものになっている」と語った。
インタビューはテレビ放映された。
ロシアは「特別軍事作戦」と呼ぶウクライナ全面侵攻を正当化するために、ウクライナの指導者がウクライナ国内の数百万人のロシア語話者を「ネオナチズム」に基づき「大量虐殺」していると非難。プーチン氏はこれまでも、現代ウクライナの民主的に選ばれた政府を、第二次世界大戦時のナチス・ドイツとウクライナのナチス協力者によるユダヤ人の大量殺害と関連付けようとしてきた。
2019年に民主的にウクライナ大統領に選出されたゼレンスキー氏の第一言語はロシア語。祖父のきょうだいの何人かがホロコーストの犠牲になったとしており、ウクライナの「ネオナチ」を支援しているとのロシアの非難を繰り返し否定している。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問はプーチン氏の今回の発言について、「他国の国民に対する集団的な犯罪を醜悪なうそで正当化しようとすることに嫌悪感を覚える」と語った。