米国5年債利回りが3年債利回りを下回り、イールドカーブの逆転が2008年以来起きている。イールドカーブの逆転は景気後退のサインと受け止められ、これまでは時間をおいてリセッションに入っている。
G20において米中首脳会談が行われ、貿易戦争の一時停止が株式市場で好感されたが、債券市場はこれを一時的とみなし、長期債利回りがじりじり下落している。午後1時26分時点で米国10年債利回りは前日比1.62%下がり、2.942となっており、米中合意以降も利回りが下がっているのはその証拠といえる。確かに米中合意は90日間の停戦はしたものの、両国の完全合意までの壁はかなり高く、不確実性が残るのが実態だ。もし90日後に合意できずに貿易戦争が再び始まれば、世界経済に大きな影響が出るのは間違いない。
12月のFOMCにおいて利上げが確実視されており、実際実行されれば、10年債でも逆イールドが起こりえる。現時点で2年債と10年債に利上げ予定の0.25%の差はないからだ(ちなみに1年債とも0.25%の差がない状態だ)。
本日の株式市場は日経平均が350円以上も現時点で下落している。月曜日に米中合意を織り込んでいたとはいえ、前日の米国市場の上昇を考えれば大きな下落となっている。債券市場の変調は株式市場のセンチメントに影響しているのは間違いない。今後の債券市場の動向にはよくよく注意が必要だ。