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米下院、トランプ氏の弾劾調査開始へ ウクライナ巡る疑惑で

発行済 2019-09-25 10:39
© Reuters. トランプ氏、ウクライナ支援保留認める 下院議長は弾劾調査へ

[ワシントン 24日 ロイター] - 米下院は、トランプ大統領の弾劾に向けた正式調査を開始する。来年の大統領選で野党・民主党の有力候補と目されるバイデン前副大統領に打撃を与えることを狙ってウクライナに圧力をかけたとされる疑惑を受けた動き。

民主党のペロシ下院議長は24日、同党の会合後、弾劾調査を開始すると発表した。

トランプ氏の行動は国家安全保障を損ね、米憲法に違反するとみられると指摘した。

ペロシ氏は「大統領は説明責任を果たす必要がある。法を超越する者は誰もいない」と語った。同氏はこれまで弾劾手続きに向けた調査に消極的な姿勢を示してきた。

トランプ大統領はすぐさまツイッターへの投稿で、魔女狩りだなどと反発した。

トランプ氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領との7月25日の電話会談で、バイデン氏と同氏の息子について調査するよう圧力を掛けたとされている。

トランプ氏は24日、ゼレンスキー大統領との電話会談の記録を完全な形で25日に公表する方針を明らかにした。

ゼレンスキー大統領との電話会談前に、同国に対する約4億ドル規模の支援を保留するよう指示したことも確認した。ただ、調査するよう圧力を掛けるためではないと主張。電話会談の記録を見れば、内容が「完全に適切」で、バイデン氏を調査するようゼレンスキー氏に圧力を掛けていないことが分かると述べた。

トランプ大統領は記者団に対し、対ウクライナ支援保留の決定について「交換条件はなかった」と強調し、米国だけでなく欧州諸国も援助すべきと考えたことが理由と説明した。

<罷免には高いハードル>

ペロシ氏によると、米下院の6つの委員会で現在行われているトランプ氏の調査は、弾劾手続きに向けた調査の一環として継続される。下院の側近によれば、各委員会は協力して作業を進め、その後、下院司法委員会による弾劾条項起草の是非を判断する。

ペロシ氏は「トランプ大統領の行為は、大統領職への宣誓や国家安全保障、選挙の清廉さへの裏切りという恥ずべき事実を露呈した」と非難した。

共和党は、ペロシ氏が弾劾調査を政争の具にしていると批判。マコネル上院院内総務は、電話会談の詳細が公表されるまで民主党は決定を待つべきだったとし、調査開始の決定は性急だと指摘した。

弾劾調査が最終的にトランプ大統領の罷免につながる可能性はあるものの、ハードルは高い。

民主党が過半数を占める下院で仮に弾劾決議が可決されても、上院が弾劾裁判を経て罷免を判断する。有罪の判断には、3分の2以上の賛成が必要になる。

米議会による弾劾調査は、クリントン元大統領に対する1998年の調査以来だが、その際も下院による弾劾決議の2カ月後には上院の裁判で無罪となり、クリントン氏は大統領職にとどまった。

<与野党の対立激化へ>

バイデン前副大統領は24日、トランプ大統領が今回の問題を巡る情報提出などで議会の要請に応じなければ、弾劾手続きの開始を支持すると表明。「米国大統領が憲法を切り裂くのを看過すれば、影響は永遠に残る」と述べた。

大半の民主党大統領選候補は弾劾調査を支持しており、有力候補のウォーレン上院議員はツイッターに「下院は弾劾しなければならない」と投稿した。

今後、議会や大統領選キャンペーンなどで与野党の対立が鮮明になるのは必至だ。有権者が民主党の動きを行き過ぎとみれば、同党にとって裏目に出るリスクもある。

トランプ大統領は2017年1月の就任後、さまざまなスキャンダルが浮上する中でも、共和党支持者の強いサポートを維持している。

民主党は、トランプ氏とゼレンスキー氏の電話会談を問題視した米情報機関当局者の内部告発文書などの入手も求めている。

© Reuters. トランプ氏、ウクライナ支援保留認める 下院議長は弾劾調査へ

下院情報委員会のシフ委員長(民主党)は、内部告発者の代理人を務める弁護士と連絡を取っていることを明らかにし、同当局者が週内に証言を希望していると述べた。

上院は24日、内部告発の内容を上院・下院情報委員会に提出することを求める決議案を承認した。下院も25日に同様の決議案を採決する。

※内容を追加しました。

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