◆1月21日(土)は全国投資セミナーで香川県の高松に行った。
香川といえばうどん県。
香川の人は何についてもうどんを基準に考えるという。
「急ぐからタクシーで行こうか」「冗談じゃない、バスで行けば、その分うどんが何杯食べられると思ってるんだ。
バスにしよう」「ねえ、たまにしか会えないんだから今度のデートはイタリアンが食べたいな」「うどん屋でいいなら毎日デートするよ」
◆いったい香川県には何軒のうどん屋があるのだろう。
僕はこういうとき、グーグルで答えを検索する前に自分の頭で推量してみるのが習慣になっている。
ちょっとした頭の体操である。
まず香川県の人口は100万人。
これはキリがよい数字なので覚えていた。
次にいったいどのくらいの人が外食でうどんを食べるだろう。
赤ちゃんから小学生くらいの子供、お年寄りは除こう。
忙しい主婦もわざわざ外に食べにはいかない。
恒常的、習慣的にうどん屋に立ち寄るのは勤め人か学生だろう。
当てずっぽうで100万人のざっくり6割、60万人としよう。
◆習慣的にうどん屋に行くとしても毎日は食べないだろう。
3日に一度くらいか。
そうすると1日にうどん屋を訪れる客は60万人の3分の1、約20万人。
うどん屋は1日に何食のうどんを供するだろう。
朝早くから営業している店もある反面、限定100食とか麺がなくなり次第終了という店もある。
地方でも行列ができる人気店もあれば街中でもぱっとしない店もあり千差万別。
平均すれば1軒で400食くらいか。
◆以上から、日々20万人の胃袋を満たすには500軒のうどん屋が必要という計算になる(20万人÷400食=500軒)。
果たして正解は約600軒。
当たらずとも遠からず、という結果になった。
実はこうした推量の方法は「フェルミ推定」といい、コンサルティング会社の入社試験などで問われたりするスキルである。
◆見当もつかない問題も、確実に分かる数字(人口)とあてずっぽう(訪問頻度や1日何食提供するか)の部分とに要素を分解して対応すると、「当たらずとも遠からず」の答えにたどり着ける。
フェルミ推定のミソは当てずっぽうでも、それらしい数字を入れることである。
訪問頻度のところで「毎日」とか1日当たりの提供数を「10000食」とかしてはアウトである。
◆僕が株価の予想をするときもこのフェルミ推定に倣うところがある。
株価の構成要素を1株当たり利益とバリュエーションに分解し、それらしい数字を当てはめる。
そうすれば「当たらずとも遠からず」という値になる。
日経平均の今後1年の予想で4万円とか7000円とかトンデモない値を目にすることがごくまれにあるけれど、フェルミ推定を使えばそういう結果には絶対ならないはずである。
◆フェルミ推定で本当に当たるのかって?当たるんです。
日経新聞社から2016年12月末の株価を予想した「日経平均ダービー」プロの部で僕が1位になったとの連絡を受けた。
1月28日(土)の日経紙面で紹介されるとのことだ。
滅多に当たらないので1位になった時は大々的に自慢させていただきたい。
あ、「滅多に当たらない」というのは失言、取り消します!
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆
(出所:1/23配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)
香川といえばうどん県。
香川の人は何についてもうどんを基準に考えるという。
「急ぐからタクシーで行こうか」「冗談じゃない、バスで行けば、その分うどんが何杯食べられると思ってるんだ。
バスにしよう」「ねえ、たまにしか会えないんだから今度のデートはイタリアンが食べたいな」「うどん屋でいいなら毎日デートするよ」
◆いったい香川県には何軒のうどん屋があるのだろう。
僕はこういうとき、グーグルで答えを検索する前に自分の頭で推量してみるのが習慣になっている。
ちょっとした頭の体操である。
まず香川県の人口は100万人。
これはキリがよい数字なので覚えていた。
次にいったいどのくらいの人が外食でうどんを食べるだろう。
赤ちゃんから小学生くらいの子供、お年寄りは除こう。
忙しい主婦もわざわざ外に食べにはいかない。
恒常的、習慣的にうどん屋に立ち寄るのは勤め人か学生だろう。
当てずっぽうで100万人のざっくり6割、60万人としよう。
◆習慣的にうどん屋に行くとしても毎日は食べないだろう。
3日に一度くらいか。
そうすると1日にうどん屋を訪れる客は60万人の3分の1、約20万人。
うどん屋は1日に何食のうどんを供するだろう。
朝早くから営業している店もある反面、限定100食とか麺がなくなり次第終了という店もある。
地方でも行列ができる人気店もあれば街中でもぱっとしない店もあり千差万別。
平均すれば1軒で400食くらいか。
◆以上から、日々20万人の胃袋を満たすには500軒のうどん屋が必要という計算になる(20万人÷400食=500軒)。
果たして正解は約600軒。
当たらずとも遠からず、という結果になった。
実はこうした推量の方法は「フェルミ推定」といい、コンサルティング会社の入社試験などで問われたりするスキルである。
◆見当もつかない問題も、確実に分かる数字(人口)とあてずっぽう(訪問頻度や1日何食提供するか)の部分とに要素を分解して対応すると、「当たらずとも遠からず」の答えにたどり着ける。
フェルミ推定のミソは当てずっぽうでも、それらしい数字を入れることである。
訪問頻度のところで「毎日」とか1日当たりの提供数を「10000食」とかしてはアウトである。
◆僕が株価の予想をするときもこのフェルミ推定に倣うところがある。
株価の構成要素を1株当たり利益とバリュエーションに分解し、それらしい数字を当てはめる。
そうすれば「当たらずとも遠からず」という値になる。
日経平均の今後1年の予想で4万円とか7000円とかトンデモない値を目にすることがごくまれにあるけれど、フェルミ推定を使えばそういう結果には絶対ならないはずである。
◆フェルミ推定で本当に当たるのかって?当たるんです。
日経新聞社から2016年12月末の株価を予想した「日経平均ダービー」プロの部で僕が1位になったとの連絡を受けた。
1月28日(土)の日経紙面で紹介されるとのことだ。
滅多に当たらないので1位になった時は大々的に自慢させていただきたい。
あ、「滅多に当たらない」というのは失言、取り消します!
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆
(出所:1/23配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)