ドルは、週が明けても高くなる
ドルはNYの取引時間中に若干後退し、 EUR / USDの1カ月ぶりの安値、GBP / USDの10カ月ぶり安値を更新することはなかった。欧州の通貨は最も厳しい打撃を受けたが、対ドルで下落しなかったメジャーな通貨はなかった。貿易摩擦と人民元の弱さが、投資家がドルを購入する主な理由だ。
中国人民銀行が金曜日に為替フォワード取引のための準備金を上げた後、一時的に上昇したが、元は下落を再開した。
なぜ USD / JPYが上昇しているのか、そして貿易摩擦に陥っていないのか、なぜ金価格が下落し強くないのかについて、混乱している読者から質問があった。
一般的な考え方としては、通貨の安全な避難先として、円はリスク回避の際に買われるのだが、日本は貿易戦争に晒されているためそうなっていない。中国は通貨を弱体化させているが、USD / JPYもUSD / CNYに続いて貿易戦争の被害者であることを示している。
USD / JPY(オレンジ色の線)は、USD/ CNY(白線)と足並みを揃えるように移動している。ドルが強くて価格が下落するため、金は上昇していない。
今後の見通しとして、火曜日に発表される予定の主要な米国経済指標はないが、米国と中国の貿易摩擦が高まっているため、焦点は見出しのようになるだろう。
RBAは本日金融政策発表を行う。
AUD / USDは、過去1ヶ月間、0.7318から0.7464というレンジで取引されており、オーストラリアドルはかなり安くなっている。しかし、今月の豪準備銀行(RBA)の公定歩合決定によって、このレンジから外れるかどうかはわからない。
前回の豪準備銀行理事会で、労働市場の拡大とインフレの上昇について話がされている。その後、雇用が強くなり、消費者信頼感指数も上昇している。インフレ圧力はわずかに緩和されたが、四半期ごとおよび年率ベースで依然として強いままである。
悪いニュースは、AIG 製造業指数とAIGサービス業指数が弱くなり、6月に貿易収支が大幅に増加したのにも関わらず、中国の人民元が過去6ヶ月で最大の下落をし、過去1ヶ月で悪化した可能性が相当高いことだ。
これまでのところ、豪準備銀行は、中国の貿易戦争についてはコメントしていないが、米国と中国の貿易摩擦の緊張は、無視できない深刻なリスクをオーストラリアの経済にもたらしている。RBA総裁がこれに対処すれば、AUD / USDは1年ぶりの下落を見せるだろう。しかし、外部のリスクを無視して政策の大部分を変更しない場合、AUD / USDは75セントに戻る可能性がある。
USD / CADのトレーダーが火曜日の IVEY PMIに注目している間、 NZD / USDは木曜日に発表されるRBNZ(ニュージーランド準備銀行)公定歩合発表までは弱いままだろう。
本日の最悪の通貨はブリグジットが進んでいない ポンドだ。 英国政府のスポークスマン、James Slack氏は「メイ総理大臣は、悪い合意をするぐらいなら合意しない方がよいと思っている。政府としてはブリグジットの合意ができると確信しているが、合意されないときのための準備もしている」と述べた。イングランド銀行総裁も先週このリスクを認めている。 これらのヘッドラインの裏側でGBP / USDは11ヶ月ぶりの水準に下落し、1.30のサポートが崩れた。その次のストップは1.2775の過去1年間の最低レートになる可能性がある。
一方、予想よりも大幅に弱いドイツの製造業新規受注は、 EUR / USDを大きく下落させた。貿易摩擦を背景に、ユーロ圏の低迷に加えて、ユーロ圏以外の国からの需要も急激に低下しているのだ。 前年度比で、2016年7月以来初めて売上が減少している。この減少は、投資家の信頼低下とドイツ 景況感指数を反映している。 この低下を受けて、火曜日のドイツ鉱工業生産とドイツ貿易収支の数字も打撃を受ける可能性がある。EUR / USDは昨日の終値が高く終わったので、更なる大きな下落の前にいったん高くなる可能性もある。