ポイント
- VIXは一ヶ月の最低水準まで下がったが、2017年や2018年初めと比較して未だ高い。
- 株式市場は2週連続金曜日に下落した。それは偶然の一致なのか、週末を挟んで保有し続けたくなかったのか。
金曜日の米国株式はダウ平均、S&P 500、ナスダック総合指数、ラッセル 2000 は軒並み下落した。しかし、週次では2週連続で上昇している。ファンダメンタルズ的には、テクノロジー株の決算が残念な結果であったために株価の下落が起こったが、テクニカル的には、週末を挟んで株を保有したくなかった2週間だったようだ。
金曜日に株を売る傾向は、投資家が株式市場に信頼を失っているサインなのだろうか。
S&P 500は大半のセクターが下落しており、金曜日は0.92%下落した。生活必需品セクターは0.58%上昇したが、通信サービスセクターは2.05%安、テクノロジーセクターは1.73%安とそれぞれ下回った。
しかし、週次ではS&P 500は2.13%上昇した。中でもヘルスケアは、4.13%上昇した。
ダウ平均は一日だけ0.77%の下落の日があったものの、他のインデックスのパフォーマンスを上回り、今週2.84%上昇した。
ナスダック総合指数は、 金曜日に1.65%下落したが、週次では0.68%上昇している。金曜日下落した中でも、半導体メーカーのスカイワークス・ソリューションズ (NASDAQ:SWKS) の決算ではスマートフォン需要の鈍化が顕著であり、株価が急落していた。
ラッセル2000は金曜日に、1.77%下落した。テクニカル的には、2016年初頭以来上昇トレンドより下で推移している唯一の主要な米国の指標である。これはまた、200日線を下回る唯一の指標でもあり、50日線が200日線を下回ってデットクロスが今にも起ころうとしている。
VIX が火曜日と金曜日に上昇しているが、2週間連続で下落し、過去一ヶ月間の最低水準まで下がった。しかし、これはまだ2017年のすべてと2018年の大半の水準よりは上である。
FRBが火曜日に、段階的に利上げをすることを計画し続けていると再表明したのちに、米国債利回りはわずかに上昇している。テクニカル的には 10年債の利回りは先月のピークである3.250が抵抗ラインになっている。もし、下落が続き3.050を下回るのならば、ダブルトップを完成させるだろう。
米ドルは10月31日のピークから25%離れているが、再び2017年以降最も高い水準まで近づいている。ポンド はジョンソン運輸閣外大臣の辞任に伴うEU離脱(ブレクジット)交渉への悪影響への懸念によって下落した。新興国市場の株式と通貨も下落している。
WTI原油 は10日連続で下落しており、3月ぶりの最安値になっている。テクニカル的には、50日線が100日線を下回り、原油価格の弱気を示している。
投資家は景気循環がピークを迎えつつあるのではないかと懸念している。原油価格の下落は主に供給の急増に起因していると考えられるが、中国からの懸念すべき材料が増えていることにも注目だ。世界第二位の経済大国の経済指標は、PPIが軟調であることや、弱い自動車売上、予想を下回る決算を発表したCtrip.Com International (NASDAQ:CTRP)などのニュースは、中国経済の健全性への懸念を再燃させている。
中国が銀行に民間企業へ融資要件の明確化を計画しているという報道が流れた後、先週のアジアの株式市場は特に低迷した。
オフショア人民元は、アメリカ中間選挙後に米中の貿易戦争の終わりの兆しがほとんどなかったにもかかわらず、比較的堅調で今週末にほんの少しだけ下落した。
なぜ投資家はマーケットに弱気なのか?
様々な状況が錯綜する中で言い切ることは難しいが、2週間連続で金曜日に下落していることは、投資家の上昇相場への楽観的な見方ができなくなってきているのではないだろうか。
もしかしたら来週に第三の要因が株式を動かすかもしれない。しかし、もし来週も「週次では上昇するものの、金曜日に下落する」ことが繰り返されたら、上昇相場への信頼を失っているというサインだろう。