ファンダメンタルズ的には、ユーロが上昇する要因はほとんどない。景気が悪化する中で、ドイツ連邦銀行のイェンス・ワイトマン総裁は先週、ドイツの経済成長は2019年に入って鈍化する可能性が高いことを警告しており、米国はEUに対して莫大な関税を課す可能性がある。また、ドイツ国債のイールドカーブはユーロ圏経済が弱まっていることを示しており、欧米で景気後退のリスクが高まっているとの見方を裏付けている。ZEW景況感指数は改善する一方で、軟調な独鉱工業生産はユーロにとって重しとなるだろう。
テクニカル分析の観点では、ユーロ/米ドルは1.13を下回った後、高値、安値ともに切り下がっており、弱気相場を示している。また50日単純移動平均線を3日連続で上回ることができなかった場合、1.12を下回る可能性があるだろう。ユーロ/ドルが弱気相場であることには疑いないが、聖週間におけるブレイクはだましとなる可能性が高い。17日発表のEU貿易収支や物価指数は好調な結果が見込まれており、ユーロ/ドルは1.1250から1.1325のレンジで持ちこたえると考えられる。一方、17日発表の米貿易収支やベージュブックは、米ドルを下支えするだろう。
先週のブレイクの後、米ドル/日本円は小幅な値動きを見せてきた。16日の米国株の上昇や米国債利回りの回復は、米ドル/日本円を高値へと押し上げたが、20ピップスの範囲にとどまった。この小幅な値動きは、17日に権利行使価格112の通貨オプションが11億ドル分失効することが背景となっている。一度オプションが失効すると、通貨は大きく値動きすることが予想される。 ISM製造業購買担当者指数の改善に続いて、本日公開予定の貿易収支も好調な結果が見込まれている。また、ベージュブックでは3月の政府機関閉鎖に伴う景気回復について言及されるだろう。
比較的好調であった雇用統計を考えると、16日のポンドが下落していることは驚きである。賃金上昇率は予想と一致し、雇用数は17万9000件増加している一方で、失業保険申請件数は増加していた。しかし、失業率は3.9%となり、約45年間で最も低い水準となった。賃金や物価の堅調な上昇はインフレ率が順調に上昇していることを示しており、17日発表の消費者物価指数はポンドを下支えするだろう。
ニュージーランドの消費者物価指数の発表が控えており、資源国通貨は今後24時間で注目を集めるだろう。乳製品取引価格指数は5回のオークションで上昇し続けている。商品価格も上昇しており、第1四半期において物価上昇圧力が強まっていることが窺える。NZドル/米ドルは200日単純移動平均線の上で持合いとなっている。エコノミストはCPIが0.3%増と予想しており、実際に予想を上回った場合、NZドル/米ドルは68セントまで上昇すると考えられる。
15日のオーストラリア準備銀行(RBA)議事録はハト派的な内容であったが、豪ドルへの影響は限定的であった。RBAは利下げが必要となる様々シナリオを検討していたことが明らかとなり、豪ドル/米ドルは下落したが、その後のニューヨークの取引時間で反発した。
本日公開されるカナダの消費者物価指数(CPI)と貿易収支によって、米ドル/カナダドルは大きく値動きするだろう。今月に入って、米ドル/カナダドルは 1.3280と1.34の間で取引されてきた。製造業出荷の減少や国際的な証券取引の低下しているにも関わらず、原油価格の高騰を受け、米ドル/カナダドルは下落した。Ivey購買担当者指数は好調であることを考慮すると、CPIと貿易収支は上振れする可能性が高いだろう。しかしながら、いくら数値が良かったとしても、カナダ銀行はハト派的なスタンスなので、カナダドルへの影響は限定的であろう。