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米中貿易戦争の激化により市場心理は悪化
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米国債利回りは2017年12月の水準まで低下、ドルは2017年5月の高値へ向かい上昇中
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米国株式は中期的には上昇トレンドであるが、弱気な見通しは続く
米中貿易戦争による市場心理の悪化にともない、先週のS&P 500は2週連続の下落となった。2週連続の下落は昨年12月中旬ぶり初めてであり、今後の弱気相場を暗示させる。
米国債利回りは2017年12月上旬ぶりの低水準で週を締めくくった。一方、ドルは2017年5月の高値に向かって上昇している。
投資家は、今後の米国債利回りやドルの動向に注目しているだろう。
また、米国債市場では今年2回目の逆イールドが発生したことにより、これは景気後退へのサインなのかを見極める必要がありそうだ。
S&P 500は先週金曜日は0.58%安となり、前週比0.76%の下落となった。ディフェンシブセクターである 公益事業 (+0.51%)以外のセクターは前週比でマイナスとなっている。 資本財セクター (-1.11%)は輸出に頼っているため、アンダーパフォームとなった。
ダウ平均株価は前週比0.69%安であり、4週連続の下落となっている。またナスダック総合指数は、前週比1.07%安となり、2週連続の下落となっている。
ラッセル 2000は先週金曜日1.27%安で、前週比では2.37%の下落となっている。テクニカル的には、50日移動平均線と100日移動平均線の水準が抵抗ラインになり、反発を打ち消していることがわかる。また、50日移動平均線は200日移動平均線を下回りデッドクロスを形成している一方で、100日移動平均線がサポートラインとなっている。
100日移動平均線の水準はダブルトップのネックラインとして見ることもできるだろう。
米中貿易戦争が再び激化することによって、米国債の買い需要が増え、利回りは昨年12月初旬の水準まで低下した。我々は引き続き米国債の買いが加速し、利回りは下げ続けるという見方をしている。
米国債利回りが200日移動平均線を下回るようであれば、下降トレンドが続くシグナルとなるだろう。また、逆イールドの発生によって不況期の到来も予想される。
200日移動平均線が現在サポートラインとして機能するのなら、100日移動平均線(2.6%)の水準をネックラインとするダブルボトムを形成する可能性がある。
ドルはアセンディングトライアングルの上限を超えて2017年5月ぶりの高値となり、今後高値更新する兆候と見ることができる。一方ドル高は、特に貿易戦争下で米国の輸出産業への打撃となるだろう。
メイ英首相が新たな保守党党首選の日程を決めることを発表した中、 英ポンドは弱含みしている。テクニカル的には、今年1月から形成を始めていたヘッド&ショルダーを先週15日に完成させた。しかし、まだ8月と10月の安値より上の水準であり、9月以来形成している大きなヘッド&ショルダーボトムを形成する可能性があるだろう。
バンクオブアメリカ (NYSE:BAC)は、 原油に対し強気の見方をしている。投資家は、貿易戦争や米イランとの軍事的緊張が原油に対する弱気要因としてみているだろう。
テクニカル的には、12月を底値とする上昇トレンドラインを下回っているものの、50日移動平均線がサポートラインとして機能している。また、ヘッド&ショルダーの形成に失敗しており、レンジ相場となることを指し示している。
商品市場では、鉄鉱石は5年ぶりの高値まで上昇している。
また、ビットコインは8000ドルで攻防しており、上昇トレンドが保たれるかが注目される。