今週も為替相場は目まぐるしく変化しそうだ。
ここ数週間に引き続き、経済指標よりもヘッドラインリスクが優先されるだろう。
米中関係が鍵を握る一方で、中央銀行の発言も見逃せない。
今週は米・英・EUそしてオーストラリア中銀の発言が控えている。
注目の10大イベント(発表順)
- 20日 米 パウエルFRB議長がアトランタにて講演
- 21日 豪 RBA議事録、ロウ総裁が「経済予測と金融政策」にて演説
- 21日 英 カーニーイングランド銀行総裁が5月インフレ報告
- 22日 NZ 小売売上高
- 22日 欧 ドラギECB総裁が演説
- 22日 加 小売売上高
- 23日 米 FOMC議事要旨
- 23日 欧 欧州議会選挙
- 23日 欧 ユーロ圏PMI
- 23日 英 小売売上高
加えて、ECB議事要旨や英消費者物価指数(CPI)も発表される。
ドラギ総裁の発言は、議事録よりも強く市場に影響すると考えられる。
英CPIについても同様に、カーニー総裁のインフレ報告がより注目されるだろう。
そして、密かに下落しているユーロドルが最大の懸念だ。
まず、ドラギ氏の発言から新たな条件付き長期的リファイナンスオペ(TLTRO)の必要性やさらなる景気刺激策の可能性について注目が集まるだろう。
またEU経済の良し悪しを測るPMI等の経済指標に加えて、23-26日の欧州議会選挙も判断材料となるだろう。選挙には28の加盟国が参加する。
26日に結果が出揃うが、親EU派と反EU派の熾烈な争いになると見られる。
EUに懐疑的なポピュリズム(大衆迎合主義)がどの程度支持を集めるかは大きな疑問だ。仮に彼らが議席数を伸ばせば、今後5年間の議会に大きな影響を与えることになるだろう。
一方で、ポピュリズムは貨幣に対し悪影響にはならないと考えられる。オーストラリアの例を見てみよう。
18日に行われた下院総選挙では、ここ数か月の世論調査で支持率が低かったにも関わらず自由党を率いるモリソン氏が勝利した。
選挙の結果を受け、豪ドルは他の主要通貨すべてに対して上昇した。モリソン氏勝利がオーストラリアの短期的経済リスクを取り除くわけではないが、投資家らはモリソン首相の再選をポジティブにとらえており、豪ドルには悪影響が出なかった。
しかしながら、ロウRBA総裁の利下げ発言による豪ドル/米ドル安は避けられないだろう。
パウエルFRB議長発言にも大きな注目が集まる。同氏の前向きな経済見通しに水を差した株価急落や貿易摩擦の激化に対する判断材料になるだろう。
先週ドル円は110円台まで回復している。パウエル議長が停滞は一時的なものであり数か月の内に成長性が回復するとの見解を示せば、ドル円は110.50を突破し112台へ近付くだろう。
一方で、同氏がリスク喚起を行った場合は、ドル円はただちに109台まで後退するだろう。他のイベントについては、発表に伴って随時記事を追加する。