配当銘柄は今年の上半期、概ね上昇した。景気後退が叫ばれる中で、投資家が資産避難先として配当銘柄を選んでいるためだろう。
景気後退のリスクは依然として大きいままだが、上半期の株価上昇により、高配当銘柄は高額なものとなってしまっている。そこで次の株価下落が起きた際、押さえるべき2つの銘柄について本日は紹介する。
1.P&G
消費財世界最大手のP&G(NYSE:PG)は、同セクターにおける高配当銘柄の一つである。
同社は過去128年間配当を続けており、62年連続で配当額を引き上げている。不況、戦争、干ばつなどいかなる逆境の中でも利益を生み出してきた。
しかしあなたが今、同株をポートフォリオに加えようとしているのならば、それは時期が悪いと言えるかもしれない。同社の配当利回りはここ4年の平均の3.4%を遥かに下回る年率2.7%となっている。PERは26.52倍となっており、5年ぶりの高水準に近づいている。
とは言っても、P&G株に魅力を見出すアナリストらも依然として存在する。先週ゴールドマン・サックスは同株が「株価上昇と配当金を含むトータルの投資リターンが2桁台になる見込みがある」として、同株の投資判断を「ニュートラル」から「バイ」へ格上げした。また向こう12カ月間の目標株価を114ドルから125ドルへ引き上げた。
またゴールドマン・サックスはP&Gについて以下のように述べている。
「P&Gのような世界的な必需品メーカー株は流動性が高く、ポートフォリオに加える価値がある。また同株が一般消費財セクターの大型株の中でアンダーウェイトとされていることも加味するべきだ」
P&Gは3日、0.9%高の111.49ドルで終値を迎えた。
2.スターバックス
スターバックス(NASDAQ:SBUX)に対する投機熱は未だに冷める気配を見せていない。同社は過去1年で70%以上の大幅高を遂げ、3日には最高値となる85.51ドルで取引を終えた。
同社の成長戦略が軌道に乗っており、通期の利益見通しも上方修正したことが好感されている。
1-3月期における同社の決算報告は、市場予想を遥かに上回るものとなった。
コストの高騰や競争の激化だけでなく、消費者がフラペチーノなどの甘味嗜好品よりも健康食品を好んでいるという状況の中で、このような好成績を残している同社は評価に値するだろう。
また米国市場だけでなく、同社が成長戦略の中心として位置付けている中国でも顧客獲得に成功している。同社の更なる成長は国際的な成功に懸かっており、移り変わる顧客ニーズに対応することが不可欠である。
同株をまだ保有していない場合は、今は買い時とは言えないかもしれない。しかし、もし同株が何らかの理由で下落した場合は、躊躇なく買いでエントリーするべきである。現在同株の配当は1.72%に留まっているが、増配や自社株買いの計画を考慮すると、ロングにふさわしい銘柄と言えるだろう。
総括
P&Gとスターバックスは両社ともに黄金時代を迎えており、退職後のポートフォリオに加えるのにぴったりな銘柄と言えるだろう。景気の良し悪しに関わらず、両社の株式を保有するメリットは存在する。両社はともに投資家に高配当をもたらしてきた長い歴史が存在する。
もしあなたが両社の株式を既に保有しているのならば、今すぐショートする必要はない。またもしあなたが両株を購入していないのならば、今年の大幅上昇が終わり横ばいになるまで待った方が良いだろう。そうすればいずれ買い時が巡ってくるはずである。