欧州中央銀行(ECB)理事会を前に、ユーロはドルに対して2か月ぶりの安値で取引されている。ユーロは1.12を下回り、ニューヨーク時間にはさらに下落した。人々の注目が米国の利下げに集まる中、ECBもまた利下げする可能性が浮上した。今週のECB理事会では、今後の追加緩和を見据えて、フォワードガイダンスが微調整されることが予想されている。
ECBは今回の会合では追加緩和に踏み切らずに、9月まで様子見すると見られている。欧州における企業マインドや製造業PMIが悪化する一方で、消費者支出や雇用者数は好調な結果を示している。しかしながら、先行きは厳しいと言えるだろう。ECBにとって重要な経済指標である消費者物価指数(CPI)は低く、約1.3%程で推移している。また、1月-3月期の実質GDP成長率は0.4%増であり、低調な結果であった。加えて、米国による欧州に対する関税の懸念も今後の見通しを陰らしている一要因である。
数多くのエコノミストが9月の利下げを予想しているものの、ECBが今回の会合で追加緩和へ踏み切ることも可能性としては考えられる。テクニカル分析の観点では、ユーロ/米ドルは持合いを下離れしている。ECBがハト派色を強める場合、ユーロ/米ドルは2年ぶりの安値である1.1106を下回る可能性がある。しかし、ECBが曖昧な態度を示す場合、利下げが予想されている来週のFOMCを前に、ユーロ/ドルはショートスクイーズとなるだろう。
低調な米中古住宅販売件数をよそに、ドルインデックスは値を上げ取引されている。一方、NZドルは豪ドルに次いでパフォーマンスの悪い通貨であった。軟調な英CBI製造業受注指数を受けて、ポンドもまた下落した。マーケットは、次期首相に当選したボリス・ジョンソン氏の発言に注目している。