先週の高いボラティリティが示すように、米国市場における不確実性は現在高まってきており、そのため今後の株価を予測するのは極めて難しい状況となっている。
トランプ米大統領が中国に対する追加関税を延期することを発表したことを受け、株式市場は幾分持ち直した。またトランプ氏は15日、中国との交渉は進行中であり、習近平国家主席と間もなく会談を行う予定だと述べた。
しかしそうした好材料は先週の逆イールド発生のセンチメントを完全に帳消しにすることは出来なかった。S&P 500は先週1%の下落となり、またダウ平均株価は1.5%の下落で終値を迎えた。このように市場ではリスクオフ姿勢が強まっているものの、注目の決算報告は未だ残されている。中でも我々が注目するのは以下の3銘柄である。
1.ターゲット
小売業大手のターゲット (NYSE:TGT)は、21日寄付き前に第2四半期(5-7月期)決算報告を発表する予定だ。堅調な消費者支出に支えられ、同社のEPSは前年同期の1.47ドルから上昇し1.67ドルとなると予想されている。またコンセンサス予想によれば、売上高も4%の上昇の183億ドルとなる見込みだ。またウォルマート・ストアーズ (NYSE:WMT)をはじめとする同業他社が堅調な決算報告を示したことを考慮すると、ターゲットが投資家の期待を裏切ることはないと考えられる。
第1四半期(2-4月期)決算報告では、同社の既存店売上高は4.8%の上昇となり、アナリストらの予想を上回る結果を示した。しかし最高財務責任者のキャシー・スミス氏は5月、トイザらス閉鎖に伴う利益が減少するため、第2四半期の比較売上高は「やや減速する」と述べ、市場の期待を後退させた。同社株は今年30%の上昇を見せており、競合他社をアウトパフォームしている。
2.セールスフォース・ドットコム
ソフトウェアやクラウドベースのサービスを提供するセールスフォース・ドットコム (NYSE:CRM)は22日、市場大引け後に決算報告を発表する。同社のEPSは0.47ドルと予想されており、また売上高はハイテク産業の世界的成長を受け、20%の上昇となる39億5000万ドルとなると予想されている。
同社はこれまで記録的な成長を遂げてきたものの、その株価は同社がタブロー・ソフトウェア(NYSE:DATA)を153億ドルで買収したことを発表して以来、下押し圧力を受けている。
全額株式交換によるタブローの買収は、同社がビジネスインテリジェンス市場に進出するにあたって最大の買収であった。同社によれば、タブローの買収により同社は今年売上高を大幅に伸ばす予定で、ビジネスインテリジェンスツールを提供するソフトウェア企業大手のマイクロソフト (NASDAQ:MSFT)やオラクル (NYSE:ORCL)との競合へと繋がるという。
同社株は過去3ヶ月で9%の下落となっており、市場に遅れを取っている。16日には143.95ドルで終値を迎えた。
3.ホーム・デポ
住宅リフォームチェーンのホーム・デポ (NYSE:HD)は20日、市場寄付き前に第2四半期(5-7月期)決算報告を発表する予定だ。予想EPSは3.09ドル、予想売上高は310億6000万ドルとなっている。
同社は消費者の支出を伸ばすため、過去数年で様々な戦略をとってきており、その結果として多くの成功を収めた。しかし第1四半期(2-4月期)には既存店売上高が予想の4.3%を下回る2.5%に落ち込んでしまっている。
過去5年間に渡り同社株は143%の上昇を遂げたが、景気後退や米中貿易戦争の激化への懸念から先月は下落する結果となった。
ただし住宅ローンの利率の低下により、住宅販売数やリフォーム支出が伸びることとなれば、同社の快進撃は今後も続くことだろう。