フェイスブック (NASDAQ:FB)の株価は今年一年上昇した。これは、フェイスブックに降りかかる課題は乗り越えられる見通しがたち、再び成長軌道に戻ってきたことを示しているだろう。
フェイスブックの株価は年初来では50%以上の上昇となり、最高値である211.50ドルに迫っている。
ここで注目するべきなのは、このフェイスブックの年初来50%という上昇率はGoogleの親会社である アルファベット (NASDAQ:GOOGL)の25%上昇よりもはるかに良いパフォーマンスであるということである。
ケンブリッジ・アナリティカ事件、数々のプライバシーポリシー問題、ロシア疑惑など激動であった2018年では投資家の信頼は大きく失われたが、2019年では同社の株価はボラティリティーが大きいながらも上昇していった。
フェイスブックが抱える問題に収集がつくにはまだ時間がかかるものの、同社の決算では引き続き回復が見られている。第3四半期(7-9月期)決算では、フェイスブック、メッセンジャー、インスタグラム、WhatsAppにおいて28億人の月間アクティブユーザー数(MAU)であったことが明らかとなった。
この7-9月期では、北米では300万人のユーザーを獲得している。このユーザー数の伸びは、昨年のケンブリッジ・アナリティカ騒動以来最大の伸びである。これにより売上は177億ドル、純利益は61億ドルとなり、これはどちらも市場予想を上回る結果となった。
規制対策によるコストの増加
それでは2020年のフェイスブックはどうなるだろうか?来年には大統領選を控え、ソーシャルメディアにおいてターゲティング政治広告を禁止するべきであるという声が高まっている。
ソシエテ・ジェネラルのレポートでは、フェイスブックは「プライバシー問題、規制と監査の圧力の渦中」であり、「規制の厳格化への対策コストは多大にかかる」だろうと記されている。また、同レポートでは、実際フェイスブックの支出に対する業績見通しでは、このプライバシーやセキュリティーに関する対策に対して多くの予算が反映されているという。
ソシエテ・ジェネラルはフェイスブック株に対して「売り」と格付けし、12ヶ月予想の目標株価を120ドルとしている。ソシエテ・ジェネラルはウォールストリートにある証券会社の内「売り」としている2社のうちの1つであり、他の47社は「買い」としている。また、5社は同株に対して「中立」としている。
我々の見解では、フェイスブックは現在降りかかっている問題を乗り越えることができると考えている。様々な悪いニュースが降りかかる中、フェイスブックは引き続き広告からの売上を年25%のペースで成長することに成功している。
もちろん、フェイスブックがこれらの課題をうまく乗り越える保証はあくまでもない。前回の10月のカンファレンスコールでは、同社CFOはフェイスブックの売上成長の鈍化は、今年にも当てはまる可能性があることを示していた。これは、個人情報保護に対する強化によってターゲティング広告利用が制限され、広告売上の成長に影響があるためである。
ソーシャルメディア業界は規制当局や独占禁止法による圧力によって、引き続きこれらの企業の今後の業績に対して疑問を呈することになるだろう。
しかし、フェイスブックの場合はマーク・ザッカーバーグCEOの手腕によって予想を上回る業績を叩き出しており、投資家からの信頼を回復しつつある。
投資家がもっともフェイスブックに対して評価しているポイントは、さまざまなプラットフォームで月間28億人のユーザーを引きつけ、広告の売上を伸ばすことに成功していることである。最も期待されているのは「ストーリー」機能を使った広告である。
またインスタグラムやWhatsAppによるeコマース機能は近年、同社の新しい収益となっている。インスタグラムはShopNow(ショッピング機能)が追加され、ユーザーはそこからオンラインショッピングすることが可能となっており、同社のこの領域も今後に期待されている。
総括
フェイスブックの株価は今年力強い上昇を見せ、来年のいかなる降りかかる問題に対しても耐性があると考えられる。
同社は引き続き保有するプラットフォームから収益を堅調に生み、株価は長期的に成長することを可能にするだろう。もちろん課題はまだ解決してはいないが、2020年でのいかなる下落も押し目となり成長していくだろう。