米イラン間の緊張が高まる中、石油関連銘柄へ注目が集まっている。中東情勢の緊迫化への懸念から、今週の原油価格は値を上げて取引されている。
アメリカ軍によるイランのソレイマニ司令官の殺害の後、6日の原油価格は1バレルあたり70ドルを上回った。米国務省は、サウジアラビアの軍事基地とエネルギー施設周辺へのミサイル攻撃の「危険性が高まった」と警鐘を鳴らした。
ドナルド・トランプ米大統領は、イランが報復に出た場合、52カ所を標的にする用意があると牽制した。昨年9月にサウジの生産施設が攻撃を受けた際、世界全体における原油生産量の5%が損なわれた。
複数の大型原油銘柄への投資は、今回のような中東情勢の緊迫化からポートフォリオを守ることができる。昨年は米大型原油銘柄が株式市場をアンダーパフォームし、この戦略は魅力的ではなかった。
S&P500が過去1年間で約25%高となった一方、エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド(NYSE:XLE)は同期間で横ばいとなった。しかし、原油銘柄への投資はすぐに身を結ぶものではない。
原油銘柄へ投資する際は、財務状況やキャッシュフローが良好であり、高配当な銘柄を選択するべきである。
原油市場の高い不確実性を考えると、これは理にかなっている選択方法である。例えば、シェール革命を受け、最大の産油国はサウジから米国へ入れ替わった。
原油供給への懸念
米国は2019年9月、70年ぶりに原油輸出が輸入を上回る「純輸出国」となった。ブルームバーグによると、11月末時点の1日当たりの原油生産量は1290万バレルとなっており、イランやイラク、クウェート、アラブ首長国連邦の合計量を上回った。
現在の米イラン対立が悪化した場合、原油価格は昨年のアナリスト予想をはるかに上回る可能性がある。これは、投資家にとっては短期的な収益機会となり得る。
しかし、一部のアナリストは原油が反落すると見ている。ゴールドマン・サックスのアナリストは、原油供給に大きな影響がない場合、数週間で原油が反落する可能性があると述べた。また、原油需要を支える世界経済の成長は、限定的であるとの見方を示した。
我々の見解では、シェブロン (NYSE:CVX)などの高配当な石油メジャーへの投資がより望ましい。同株は、25%の自社株買い増額や6%の増配を実施し、2019年に大きく値を上げた。同社のマイク・ワースCEOは、設備投資以上に投資家還元へ注力している。年間配当利回りは4%、四半期配当額が1.19ドルとなっている。
よりリスクが高く、6%の配当利回りを望む投資家には、ロイヤル・ダッチ・シェル(NYSE:RDSa)がお勧めである。同社は、石油から天然ガスや電力へ事業をシフトしてきた。また、以前250億ドル規模の自社株買いを実施した。四半期配当額は0.42ドルとなっている。
また、高配当という点においては、ブリティッシュ・ペトロリアム(LON:BP)もお勧めである。同社の配当利回りは6.45%、四半期配当額は0.615ドルとなっている。しかし、配当額は2014年以降で5%増となっており、現金不足が示唆される。
同社が現金不足に陥る要因の1つとして、2010年のメキシコ湾原油流出事故が挙げられる。同社は依然としてその賠償金を支払い続けている。しかし、原油価格が上昇を続ける場合、同社は予想を上回る現金を創出できるだろう。
総括
原油市場と連動する変動の激しい原油銘柄への投資は、リスクが伴う。長期志向の投資家は、高配当で財務が盤石な原油銘柄へ投資すべきだ。