マーケットコメント
米利上げリスクを織り込んできたグローバル株式市場のパフォーマンス、特にリスク選好の先導役である米国株式のパフォーマンスが、今夏のように崩壊する兆しは今のところ見えない。しかし、そのトリガーとして注視すべきは商品市況の動向だろう。
石油輸出国機構(OPEC)内の減産を巡り意見対立が鮮明となる中(ウィーンの定例総会では減産見送り及び生産目標の明示取りやめという異例の事態となる中)、NY原油先物価格(1月限)は上記の通り約7年ぶりの安値水準へと下落。それに伴い、11月中旬以降レンジを形成しつつあったCRB指数にも再び下落圧力が強まる展開に。
原油相場をはじめとした商品市況低迷の根底にあるのが中国の内需縮小であることを考えるならば、(商品市況の)早期の反発は期待できない。よって、中国内需の回復と商品市況の遅れは、ブラジル、南アフリカ、チリそしてインドネシアやマレーシアといった資源が重要な輸出品目となっている新興国経済を圧迫し続けるだろう。その結果、新興国株式市場のパフォーマンスも低下し続けるだろう。事実、下の比較チャート(過去半年間)では世界の株式パフォーマンスに比べ、新興国 / BRIC株式の低下基調が鮮明となっている。この影響が米国株式に波及する可能性は常にくすぶっており、それが米利上げリスクに変わるリスクオフ要因として再台頭すれば、USD/JPYはクロス円での円高が圧迫要因となり、125円台をトライすることなく2015年を終える可能性が高いだろう。また、別のトリガーとして注視すべきは「商品安+ドル高」のダブルパンチを背景とした米エネルギーセクターの急落だろう。前者は米国外のリスクオフトリガー、後者は米国内のトリガーとして注視しておきたい。