マーケットコメント
イエレンFRBは予想通り9年半ぶりの利上げを決定した。最新のドットチャートでは、2016年末時点の予測中央値が1.375%と9月時点の予想から変わらず(3月時点:1.875% 6月時点:1.625%)。一方、声明文や議長会見では米経済の見通しについて自信を示すも、今後の金融政策については労働市場や物価動向、そして海外情勢の状況を見極めながら適切に対処していく方針を改めて示した。特段タカ派的な内容や言動が見られなかったことで、米金融政策における次なる焦点の「利上げのスピード」に関しては、これまでの想定通り緩慢なペース(=ベースシナリオは四半期毎の利上げ)となる可能性が高い。
イエレンFRBの忍耐強い「説得」が功を奏し16日の米国株式市場は堅調さを保った。対照的に国際商品市況では、NY原油先物1月限が前日比で4.9%下落。CRB指数も2002年1月の安値レベル144に向けて低下基調が継続している。米利上げがひとまずメインテーマから外れたことで、目先、市場の焦点は国際商品市況の低迷にシフトする可能性が高い。「商品安→株安」の展開となれば、11月以降、期待先行で構築された投機筋の米債券ショートポジションを調整する動きが強まろう(=金利は低下)。その動きに他の投資家も追随すれば、外為市場ではドルロングを調整する局面へとシフトする展開が想定される。