[シンガポール 16日 ロイター] - シンガポールのヘン・スイキャット財務相は16日、予算演説を行い、今年の新型コロナウイルス対策に110億シンガポールドル(83億1000万ドル)を充てる方針を示した。
昨年は5回の予算編成で総額1000億シンガポールドル(755億5000万ドル)近くの新型コロナ対策を打ち出した。
財務相は予算演説の冒頭、「予算編成は1回だけにするというのが私の年頭の願いだ」と表明。航空・観光など新型コロナの流行で特に打撃を受けた産業への追加支援を発表した。
また経済構造を転換する構想や大規模インフラ事業に向けた債券発行計画も明らかにした。ガソリン税を引き上げる計画も発表。数年後に消費税を増税する方針も改めて示した。
2020年度の財政赤字は649億シンガポールドルで、国内総生産(GDP)比13.9%。独立以来、最大となった。2021年度の財政赤字は110億シンガポールドルとなる見通し。
シンガポール政府は今年のGDP成長率をプラス4─6%と予想している。昨年は5.4%減だった。
OCBC銀行のトレジャリー・リサーチ・戦略担当トップ、セレナ・リング氏は「景気の回復局面では、広範な支援策を合理化し、特に打撃を受けたセクターに的を絞ることが予想される」と述べた。
政府は、職務再設計、企業のイノベーション支援といった経済構造の転換に今後3年間で240億シンガポールドルを投じる計画。
同国は電気自動車の奨励など、気候変動対策の検討を進めている。一部のインフラ事業についてはグリーン債を発行する計画だ。
長期のインフラ事業の資金を調達するため、今後15年間で最大900億シンガポールドルの債券を発行する計画も発表した。