[ワシントン 19日 ロイター] - 全米民生技術協会(CTA)が19日公表した報告書によると、米国の企業は2018年半ばから21年末にかけて中国からのハイテク製品の輸入に際して、トランプ前大統領が課した関税を合計で320億ドル余り支払った。バイデン大統領は、高インフレに伴う消費者の負担を軽減するため、対中関税の一部を撤廃するかどうかを検討している。
CTAは報告書で、米国のハイテク業界は関税を契機に中国への依存を弱め、その分をベトナムや台湾、韓国、マレーシアなどからの輸入増が相殺したと指摘した。
320億ドルの関税の約半分は、中国製コンピューターと電子製品について支払われた。
CTAが18年半ば以降の輸入動向を分析したところ、米包括通商法301条に基づく関税の対象となった中国製ハイテク製品の輸入は、その後の3年半で39%減少した。だが、影響を受けなかった同製品の輸入は逆に35%増えた。
関税の対象となったハイテク製品は、米国の輸入全体に占める中国の比率が17年の32%から21年には17%とほぼ半減した。対象外の製品は、同比率が17年と21年にいずれも84%で変わらなかった。
中国で生産された消費者向けハイテク製品の一部は、関税にもかかわらず17年よりも21年の方が輸入が増えた。企業の間で「脱中国」に取り組む動機が弱まっていることがうかがえる。こうした製品の例としてはデジタルカメラ、特定の調理機器、ロボット型を含む掃除機などが挙げられる。
CTAの国際貿易担当バイスプレジデント、Ed Brzytwa氏は声明で、関税は対中貿易問題の解決につながらず、米企業を害していると指摘。「米経済の全分野で物価が上昇する中、関税を撤廃すれば根強く有害なインフレを和らげ、米国民のコストを軽減できる」と訴えた。