日経平均は小幅反発。
34.50円高の23219.62円(出来高概算6億3000万株)で前場の取引を終えている。
1日の東京株式市場は、東京証券取引所のシステム障害により終日売買停止。
その晩、米株式市場でNYダウは小幅に続伸し、35ドル高となった。
ムニューシン米財務長官と民主党のペロシ下院議長による追加経済対策を巡る協議で「主要項目を巡ってまだ隔たりがある」などと伝わり、今後の行方を見極めたいとのムードが強まった。
ただ、主要ハイテク株を中心に買いが入り、ナスダック総合指数は1.4%の上昇。
取引再開された本日の日経平均は、米国株が2日続けて上昇した流れを引き継ぎ109円高からスタートすると、朝方には23365.58円(180.46円高)まで上昇する場面があった。
ただ、その後は時間外取引のNYダウ先物がやや軟調推移していることから伸び悩む展開となった。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)やZHD (T:4689)が2%超上昇しており、NTT (T:9432)、ソフトバンク (T:9434)、ファーストリテ (T:9983)も堅調。
9月30日に「5G(次世代通信規格)」携帯電話サービスを発表した楽天 (T:4755)は5%の上昇となっている。
9月既存店売上高に回復の兆しが見えてきた三越伊勢丹 (T:3099)、高島屋 (T:8233)などの百貨店各社や、決算が好感された西松屋チェ (T:7545)、キユーピー (T:2809)は急伸。
また、米ファンドの支援受け入れを正式発表したレオパレス21 (T:8848)は東証1部上昇率上位に顔を出している。
一方、富士通 (T:6702)が東証システム障害を受けて2%超下落しているほか、任天堂 (T:7974)、ソニー (T:6758)、キーエンス (T:6861)も軟調。
また、ハイアス (T:6192)などが東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、海運業、銀行業、不動産業などが上昇率上位。
半面、医薬品、電気・ガス業、陸運業などが下落率上位だった。
取引再開された東京株式市場は米国株の上昇を受けて堅調スタートとなったが、米株価指数先物が時間外取引でやや軟調とあって伸び悩んでいる。
米経済対策を巡っては、ムニューシン氏が早期合意の可能性を示唆したことなどから期待が高まる場面もあったが、やはり大統領選を前に与野党の対立ムードは強く、一筋縄ではいかないだろう。
前日の当欄で述べたとおり、好悪材料が入り混じる米国株に振らされる形で、日経平均も一進一退の展開が続きそうだ。
なお、米国では今晩、9月雇用統計の発表が予定されており、その内容を見極めたいとの思惑もあるかもしれない。
直近の雇用関連統計を見るとまずまず堅調な内容が期待できるだろう。
ただ、市場予想も非農業部門雇用者数が+90万人弱(8月は同137.1万人)、失業率が8.2%(同8.4%)、平均時給が+4.8%(同+4.7%)と期待をかなり織り込んだものとなっている。
また、市場の目線は今後の経済対策の方に向いている印象もある。
一方、国内ではNTTによるNTTドコモ (T:9437)完全子会社化といった事業再編の動きが出てきたことに加え、足元発表が進んでいる5-8月期決算が「想定されたほど悪くない」など、ポジティブな材料がちらほらと見られてきた。
これから5-8月期決算を発表する内需系企業には、値がさで日経平均への寄与が比較的大きい銘柄も少なくなく、予想1株利益(EPS)の減額傾向に歯止めがかかるのではといった期待が持てそうだ。
また、菅新政権のもと「Go To イート」キャンペーンが始まったり、「Go To トラベル」の対象に東京発着便が加わったりと、経済振興策が相次ぎ打たれている。
大統領選を控えた米政治情勢が注目されがちだが、国内政治を巡る論点についてもいくつか触れておきたい。
まず、一部の市場関係者が期待を寄せている「年内の衆院解散・総選挙」だが、連立を組む公明党の選挙準備等の期間を考慮すると難しいだろう。
やはり自民党の二階俊博幹事長は年内解散に考えを示している。
ただ、来年7月に東京都議会議員の任期満了が控えていることから、来年4月ごろまでに衆院解散する可能性は十分にあるとみられる。
また、経済政策的には楽天の三木谷浩史会長兼社長など、産学の「菅人脈」の影響が大きくなる可能性がある。
個人的には三木谷氏が代表理事を務める経済団体「新経済連盟」に注目しており、その顔触れを見てもIT・インターネットの利活用が一段と進むことが見込まれる。
米政治情勢に不透明感が強いだけに、国内の政策期待が高まる業種・銘柄に投資資金が向かう構図となりやすいかもしれない。
(小林大純)