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アクセル Research Memo(5):売上高180億円、純利益21億円、ROEは15%を中計目標としている

発行済 2016-05-24 16:34
更新済 2016-05-24 17:00
アクセル Research Memo(5):売上高180億円、純利益21億円、ROEは15%を中計目標としている
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■今後の見通し (2)中期経営目標について アクセル (T:6730)は中期経営目標として、2019年3月期に売上高18,000百万円、ROE15%を設定している(2014年4月発表)。
営業利益の水準で3,000百万円、純利益で2,100百万円、大規模な資本政策が実施されなければ、EPSで190円の水準が見込まれる。
前提となる遊技機器の市場規模は2019年3月期で290万台、リユース率は約37%とし、グラフィックスLSIの販売数量は120万個、市場シェアで65%程度を見込んでいる。
売上高の内訳を見ると、遊技機器向けグラフィックスLSIで前期比43%増の10,000百万円、その他LSIで同4.6倍増の8,000百万円を見込んでいる。
その他LSIの中で組み込み機器用LSIについては数%を占める程度で、大半は遊技機器向けのメモリモジュールや演出周辺LSIで占めることになる。
このため、目標達成に向けては遊技機器向けグラフィックスLSIのシェアアップと、その他LSIの拡販などシステムビジネスへの展開による機器1台当たり売上高の拡大を進めることが必要となってくる。
足元の業績は市場環境が逆風下ということもあって低水準となっているが、これら施策については着実に成果が出始めており、市場規模が290万台水準まで回復すれば、目標達成の可能性はあると弊社では見ている。
○グラフィックスLSIのシェアアップ戦略 グラフィックスLSIのシェアは、2019年3月期に65%程度まで引き上げることを目指している。
2016年3月期のシェアは前述したように主要顧客の販売不振の影響を受け50%前半となっている。
シェアアップ戦略については、「AG5」の次世代品となる「AG6」が2019年3月期より本格投入されることに加えて、パチンコ・パチスロ機のコンテンツ開発に特化したソフトウェア開発支援ツールの拡販による顧客の囲い込みを進めることで実現していく予定だ。
シェアアップを図る上での契機となるのが、2019年3月期より本格量産が予定されている「AG6」となる。
「AG6」については画像圧縮伸長率や最大メモリ容量の拡張など基本性能がさらに向上するほか、最先端プロセスを使うことによってコスト競争力も一段と増すことが予想される。
また、専用の開発支援ツールを提供することによって、顧客の囲い込みも同時に進めていく予定となっている。
パチンコ・パチスロ機は、射幸性が抑えられる傾向にあるなかで、利用客を惹き付けるだけの魅力的なコンテンツや仕掛けづくりの開発がより重要となってきており、開発工程も複雑化しているのが実情となっている。
こうしたなかで、同社では業界初となる遊技機器専用の開発支援ツール「DUKE」の一部機能について2015年にリリースした。
「DUKE」の特徴は、新機種の企画立案から映像コンテンツの開発、大当たりまでのシーケンス制御、デバッグ※まで開発工程を同ツール上でシームレスに再現できることにある。
従来は各工程で開発ツールが別れており、最後にデバッグを行う必要があった。
同社では「DUKE」を使うことによって、開発期間が従来と比較して半分程度まで短縮できる可能性があると見ている。
「DUKE」については現在、機能の一部をリリースしたのみだが、今後段階的にリリースを行い、2018年までにすべての開発工程のシームレス化を実現する予定となっている。
※コンピュータプログラムの欠陥を探し出し、取り除く作業 ○システムビジネスへの展開 同社の推計によれば、遊技機器市場において同社が製品化しているグラフィックスLSI、メモリモジュール、LEDドライバなどの需要は全体で年間500億円程度あると見ている。
同社の売上高は今期見込みで100億円であり、これら領域でのシェア拡大による成長ポテンシャルは大きいと言える。
メモリモジュールやLEDドライバなどはグラフィックスLSIよりも付加価値が低いため売上総利益率は低下することになるが、絶対額としては拡大していくことになる。
具体的な戦略としては、グラフィックスLSI単体の販売から、周辺部品も含めた基板モジュールでの販売形態に切り替えていく。
基板モジュールの販売比率としては、2017年3月期の5%から2019年3月期は25%まで引き上げていく計画だ。
販売単価はLSI単体に比べ大幅に上昇するため、売上増に寄与することになる。
また、前述したように汎用のメモリモジュールビジネスを拡大していくほか、演出周辺LSIなどの開発も進めていく方針だ。
メモリモジュールに関しては、従来、機器メーカーが自社で半導体を調達し、モジュール化するケースが大半であったが、同社で低コスト化した汎用のメモリモジュールを開発したことで、今後のシェア拡大が見込まれる。
また、演出用LSIでは、複数の液晶サブ画面を一括して制御するLSIの開発が完了した。
現在企画されている一部の機種で採用が内定するなど成果も出始めており、今後の展開が期待される。
○その他市場への取り組み その他市場向けについては、遊技機器向け製品で培ってきた技術・ノウハウを活かして、プラスアルファの成長を目指していく方針だ。
組み込み機器用グラフィックスLSIでは新製品となる「AG903」の営業活動を推進し、顧客の拡大に取り組んでいくほか、前期にリリースしたソフトウェアIPの「H2MD」はインターネット動画広告制作会社向けなどで数社採用されており、今後の拡大が期待される。
こうしたなかで注目されるのは、2016年4月に発表したザインエレクトロニクスとの業務提携だ。
両社は同じファブレス半導体メーカーではあるものの、同社が遊技機器市場に特化したグラフィックスLSIを主力事業としているのに対して、ザインエレクトロニクスは事務機器や家電、通信機器、車載機器など幅広い市場に向けて、ミックスドシグナル及びアナログ半導体を主力事業としており、事業領域や技術領域が重ならず補完関係にあることからシナジー効果が期待される。
まだ、具体的なことは決まっていないものの、まずは、技術検討会を月1回のペースでスタートし、今後の協業の可能性を模索していくことになりそうだ。
事務機器や車載機器など同社では今まで未開拓であった市場領域へ展開する可能性も広まるだけに、今後の動向が注目されるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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