アメリカ政府による関税引き上げに対し、中国政府が同様の対抗措置をとる構えを見せたことから市場では買い圧力が強くならず、8日の株式市場は値動きが少なかった。
NYダウ平均株価 (DJI) は0.01%高、米S&P 500 (SPX)は0.16%安、ナスダック総合 (IXIC)は0.26%安となった。
トランプ米大統領が今週予定されている会合で通商合意の成立を目指しているとのメッセージを発する一方で、中国商務部は、アメリカ政府が10日に関税引き上げの計画を進める場合「必要な報復措置」をとると発表した。
トランプ米大統領はツイッター上で、中国の代表団はホワイトハウスに”通商合意を結ぶために「アメリカに向かっている”ことをたった今知らせてきた」と述べている。
交渉の最終段階に向かうに連れ貿易に関する語気は強まっていくものの、最終的には通商合意の成立という結果に落ち着くだろうというのが市場の見方だ。
英パンテオン・マクロエコノミクス(Pantheon Macroeconomics)は、「数日間二国間の貿易に関する語調が更に強まり、アメリカ政府が一時的に関税引き上げを行ったとしても、合意はすぐに結ばれるとみている。」 との考えを示している。
貿易状況に左右されるボーイング(NYSE:BA)やキャタピラー (NYSE:CAT)などの銘柄は、8日のパフォーマンスはまちまちであった。この値動きは、市場参加者がまだ米中貿易摩擦の過熱が阻止されるという確信を持っていないということを示唆している。
予想外の米国内生産量低下によりアメリカの原油価格は上昇したものの、エネルギー株はあまり値動きを見せなかった。
インテル(NASDAQ:INTC)が今後3年間での予想売上高成長率が1桁台前半である業績見通しを発表し、同社株は2.5%安となった。この発表以降では優良株の売り圧力が高まり、テック銘柄が落ち込みを見せた。
一般消費財セクターはアマゾン株の急速な売りにより不調であった。同社株の売りは、同社がサイバー攻撃によりハッキングされ、昨年6ヵ月間に渡り販売主口座から資金が吸い取られていたとの報告書の提出を受けて生じた。同社株は、8日0.17%安となった。
生活必需品株は、コティ(NYSE:COTY)の第3四半期決算が純利益においてコンセンサス予想は上回ったものの売上高では下回るという不調ぶりであった。
8日の米S&P 500内トップ/ワーストパフォーマー
ダイアモンドバック・エナジー (NASDAQ:FANG)、フリートコア・テクノロジーズ (NYSE:FLT)、マクケッソン・コーポレーション (NYSE:MCK)らが米S&P 500で特に値上がりした銘柄だ。
トリップアドバイザー (NASDAQ:TRIP), ダヴィータ・ヘルスケア・パートナーズ (NYSE:DVA)、マラソン石油 (NYSE:MPC) らは米S&P 500内で特に値下がりした銘柄だ。