[ロンドン 23日 ロイター] - IHSマークイット/CIPSが23日発表した英国の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は57.7で、6月の62.2から低下し3月以来の低水準となった。新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、政府の規則によって大量の労働者が自主隔離となり、経済活動に支障が出ている。
IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「英経済成長は7月に失速した。新たな感染拡大の波で需要が抑制され、供給網が混乱し、深刻な人手不足となり、見通しに影を落とした」と指摘。第3・四半期の経済は従来より遅いペースではあるが、依然として拡大基調にあると述べた。
調査は7月12日─21日に実施した。
イングランドでは19日に感染防止の為の規制がほぼ解除された。
しかし、感染力の強い変異株が広がり感染者が急増。感染者と濃厚接触した人は、公式感染追跡アプリから通知を受け、10日間自主隔離を求められる。先週はイングランドとウェールズで60万人以上が自主隔離を要請された。
ワクチン接種を終えたか、検査で陰性だった労働者に対する自主隔離規定は8月16日に解除される予定だが、産業界は前倒しを政府に要請している。
PMIの低下は、サービス部門、特に輸送や対面サービスで顕著だった。
受注の伸びは2月以降で最も弱く、楽観的見方はワクチン開発のニュースが出る前の2020年10月以降で最低となった。
ブレグジット(EU離脱)関連の貿易摩擦、人件費や原材料費の上昇も新規受注などに打撃となった。
投入コストは過去20年あまりで最も上昇し、産出価格も6月の過去最高近くとなった。
英中銀は8月5日に次回の金融政策委員会を開催する。HSBCのウェルス・マネジメント部門最高投資責任者(CIO)、ウィレム・セレス氏は「今回の数値、変異株デルタを巡る不確実性、9月からの雇用維持制度の終了に伴う影響を考慮すると、英中銀は現行の方針を維持するだろう」と述べた。