[ソウル 27日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)が27日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前年比で10年ぶりの大幅な伸びを記録した。消費の回復が寄与した。
ただ、新型コロナウイルスの感染再拡大で、今年後半の成長見通しには不透明感も生じている。
第2・四半期GDPは前年比5.9%増。第1・四半期の1.9%から伸びが大きく加速した。前年同期との比較によるベース効果などが影響した。また、世界的な経済再開により、輸出と輸入がいずれも増加した。
ただ、前年比のGDP伸び率は市場予想の6.0%を下回った。
季節調整済み前期比では0.7%増加し、市場予想と一致。第1・四半期は1.7%増だった。
韓国中銀は今年の経済成長率を4%と予測し、インフレ加速を見込んでおり、アジアで最初に利上げに踏み切るとみられている。
ただ、政府がコロナ感染封じ込めに向けて、これまでで最も厳しい行動制限を実施する中、アナリストは第3・四半期に成長が鈍化すると予想している。
第2・四半期は輸出が前年比22.4%増加したが、前期比では2.0%減少。純輸出によるGDPへの寄与はマイナスとなり、今後数カ月間に成長が頭打ちになる可能性を示唆した。
韓国中銀の統計部門トップ、パク・ヤンス氏は「輸出は金額ベースではなく数量ベースで記録しており、輸出価格がかなり上昇していることが輸出が若干減少している要因だと説明できる。また、自動車用半導体の不足は生産の足かせとなっている」と語った。
第2・四半期の成長けん引役は民間消費と政府支出で、それぞれ前期比で3.5%増、3.9%増となった。
設備投資の伸びは0.6%にとどまった。前期は6.1%増だった。
コロナ感染再拡大で成長が失速する可能性があるものの、エコノミストは、ワクチン接種が進むにつれて、経済の急速な回復は行動制限におおむね持ちこたえることができるとみている。
オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、ロイド・チャン氏は「輸出と投資が引き続き強さの柱になる見込みで、景気回復をなお楽観視している。補正予算も、最近のコロナ感染拡大によるマイナス影響を一部和らげるだろう」と述べた。
ただ、一部のエコノミストは、成長率予想を下方修正している。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アレックス・ホームズ氏は「成長率が予想ほど高くなかったことから、今年の成長率予想を従来の5%から4.3%に引き下げる」と述べた。