[東京 30日 ロイター] - 総務省が30日発表した6月の完全失業率(季節調整値)は2.9%だった。前月から0.1ポイント改善した。宿泊業、飲食サービス業などで就業者数の戻りが出てきている。厚生労働省が発表した6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍で、前月から0.04ポイント上昇した。
ロイターがまとめた完全失業率の事前予測調査では3.0%が予想されていた。労働力調査の調査期間は、3度目の緊急事態宣言が沖縄県を除く9都道県で解除され、飲食店や商業施設などで営業を再開した時期となる。
男性の失業率は3.1%と前月に比べ0.1ポイントの低下。女性は2.7%と前月と同率だった。年齢別では15━24歳が4.5%と最も高く、65歳以上が2.1%と最も低かった。
就業者数(実数)は6692万人で前年同月比22万人増加。3カ月連続増加となったが、コロナ前の19年と比べると55万人低い水準。コロナの影響は依然として残っているものの、宿泊業、飲食サービス業が18カ月ぶりに増加。卸売業、小売業も前年同月比で49万人増加した。これまで下押しされてきた産業で就業者数が増えた。
完全失業者数(実数)は206万人で、前年同月に比べて11万人増加。17カ月連続で増加した。求職理由別では「勤め先や事業の都合による離職」が2万人減少。「自発的な離職(自己都合)」は5万人の増加となった。「新たに求職」は3万人増加した。
<有効求人倍率、1年1カ月ぶり高水準 厳しい状況は継続>
厚労省が発表した6月の有効求人倍率は昨年5月以来、1年1カ月ぶりの高い水準となった。ただ、新型コロナウイルス感染症の流行前が1.4─1.5倍台だったことを考えると低く、雇用状況には引き続き厳しさがみられる。
有効求人倍率は仕事を探している求職者1人当たり、企業から何件の求人があるかを示す。求人、求職はともに3カ月間有効で、今回は21年4、5、6月の動きが反映されたものとなる。有効求人数(季節調整値)は前月からほぼ横ばいだったのに対し、有効求職者数(同)が3.6%ポイント減少し、倍率が高まるかたちとなった。
6月の新規求人数(同)は前月に比べて4.9%ポイント増。緊急事態宣言の解除が見込まれる中で増加したとみられている。一方、新規求職申込件数(同)は同5.5%ポイント増だった。
(杉山健太郎)