[ロンドン 4日 ロイター] - IHSマークイットが4日発表した7月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は60.2で、2006年6月以来、15年ぶりぶりの高水準となった。
速報値は60.6。6月は59.5だった。好不況の分かれ目となる50を大幅に上回った。
新型コロナウイルス対策の制限措置の解除やワクチン接種の進展がサービス業の拡大に寄与した。
ただ、サプライチェーンの混乱や人手不足で、投入価格の上昇率は過去20年あまりで最高を記録した。
感染力の強いデルタ株の流行に歯止めを掛けるため、追加の制限措置が導入されるとの懸念も浮上し、企業の楽観度は低下した。
IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「欧州のサービス部門は息を吹き返しつつある。制限措置の緩和とワクチン接種の進展を背景に、観光・旅行・接客など幅広い業種で需要が拡大している」と指摘した。
7月のサービス部門PMI改定値は59.8で、前月の58.3から上昇。速報値の60.4は下回ったが、改定値としては2006年6月以来の高水準となった。営業を再開したサービス業が増えたことが寄与した。
製造業同様、サービス業でもインフレ圧力が強まっている。総合投入価格指数は69.9と、前月の69.8から上昇。約21年ぶりの高水準となった。
サービス部門の期待指数は69.1と、前月の72.7から低下し、3カ月ぶりの低水準となった。デルタ株の流行が響いた。
ウィリアムソン氏は「デルタ株に対する懸念が広がっており、一部の事例では経済活動を抑制する要因となっている。制限措置が再び厳格化されるのではないかとの懸念が浮上している」と指摘。
「このため、7月のサービス部門PMIは、速報値をやや下回っており、将来に対する期待も後退した。今後の見通しに大きな下振れリスクがあり、秋に向けて再び成長の鈍化が始まる可能性を示唆している」と述べた。