[ジャカルタ 5日 ロイター] - インドネシア統計局が5日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比7.07%増と5四半期ぶりのプラス成長となり、リセッション(景気後退)から脱却した。
成長率は2004年10─12月期以来の大幅な伸びを示し、ロイターがまとめた市場予想の6.57%増を上回った。
統計局によると、商品(コモディティー)の輸出が56%増となるなど外需が好調だったほか、消費や投資の回復、政府支出の拡大が成長に寄与した。輸出は32%、個人消費は5.9%増加した。
人の移動の増加に伴い、運輸・倉庫業や食品・飲料業が最も大きな伸びを示した。ただ、伸び率の高さは前年のベースが低かったことが影響しているとした。
昨年のインドネシアGDPは2.1%減となり、1998年以来初めてマイナス成長に陥った。
第1・四半期のGDPは0.71%減に修正された。
第2・四半期のGDPは、前期比(季節調整前)では、3.31%増。市場予想は2.94%増だった。第1・四半期は0.92%減に修正された。
<新型コロナ感染拡大がリスク>
一方アナリストは、最近の新型コロナウイルス感染者の増加により、経済回復が阻害されると警告している。デルタ型変異株の感染拡大により6月に感染者は急増し、当局は7月初めから新たな感染策の導入に踏み切った。
マンディリ銀行のエコノミスト、Faisal Rachman氏は「回復の進展に悪影響を及ぼすことは避けられない」と述べた。
同行は2021年の成長予想を4.43%から3.69%に引き下げたと明らかにした。
バンク・セントラル・アジアのチーフエコノミスト、David Sumual氏は第3・四半期の成長率について、新型コロナ対策によって0.6%ポイント押し下げられ3.5%になると予想した。通年の見通しも3.6─3.7%に引き下げた。感染が再び拡大する前は4.5%としていた。
同氏は今年中に新型コロナ危機前の水準に完全に戻ることはないと述べた。
ジャワ島やバリ島の大部分を含む特定の地域で実施されている現在の「ステイホーム」は、少なくとも9日まで延長されており、当局は9月の再開を視野に入れている。
一部のアナリストは、制限措置がさらに延長された場合、二番底のリスクがあると指摘している。
しかしマンディリ銀行のFaisal氏は商品への旺盛な需要が新型コロナ感染拡大の影響を和らげる可能性があるとの見方を示した。